また、皆が知っている大企業だからといって、一生職員を守ってくれるかといえば、そうではありません。有名企業に勤めているから幸せだという図式は、もはや過去の幻想でしかないと思います。
そして、どんな職業にも困難や大変なことはつきものです。大変なことを乗り切るためには、「やりがい」「職場の仲間との関係性」「情熱」などがどうしても必要なのです。その仕事が好きかどうかだけでなく「相性」も少なからずあります。
ネットで何でも調べられてしまう世の中ではありますが、だからこそ、直接説明会に行く、先輩を訪ねる、インターンシップに参加するなど、企業に接触する頻度を増やし、イメージと現実との違いをはっきりさせておくことが重要です。そして、その感触を肌で感じるのは、就活生本人。子どもがもらってきたパンフレットを見て、親があれこれ言うのは得策ではありません。
就活の時期になって急にではなく、幼少期から長い時間をかけて親子で職業や働き方を話し合い、本人が自己決定できるよう関わり、就活中は、子どもがそれに専念できるようにサポート役に徹する程度の関わり方にとどめるとよいかと思います。
親の勧めた就職先で子どもは活躍できるのか
そうはいっても、「自分でできる子なんて一部のしっかりした子だけ、うちの子は面倒を見ないとどうにもならない」という相談もよく受けます。「子どもではムリだから」と、エントリーシートまで、親が書いてしまう例もなきにしもあらずなのです。
しかし、社会人になろうとしている子どもに対し、全部お膳立てをし、それで決まった就職先で子ども本人は本当に活躍できるのでしょうか。親の理想の就職先に決まったとしても、入社後すぐに辞めてしまっては元も子もありません。実際に、1年未満での離職率は、有名、優良企業であっても増えています。
子どもの就職は「一生の問題」だからと、気合いが入るのもわかりますが、信頼して、本人に任せてみるのも親の役目かと思います。親自身のできなかったことや、憧れ、価値観などを押し付けないことを念頭に置かなくてはいけません。
その上で、どんな職業でもやりがいを見いだせること、そのためには自分自身の仕事への関わり方が重要で、すぐに結果は出ないことを伝える――そんな共感的で、あたたかく見守る姿勢を貫いていただければ、と切に願います。
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