子の就活に「ダメ出し」する親の残念な考え方 内定辞退者数が5年間で3倍に急増したワケ

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 親が子どもに期待するという気持ちは、あって当然です。しかし、行きすぎた価値観の押し付けは問題だと思います。就活生本人に、確固たる主体性があれば、どんな反対を受けても影響力は少ないでしょうが、まだ社会に出たことのない学生が親の発言に振り回されてしまうのは、致し方ないことです。

「何をやってるかは知らない〜♪」CMに込められた意味

しかし、企業も大学も、親の言動をコントロールすることなどできません。そこで、一部の企業は、さまざまな方法で親へのアプローチを試みることを始めています。例えば、テレビCMなどの広告媒体です。

可愛らしいアニメーションで事業紹介をしたあとに「ナブテスコって、ナンデスコ?」と問いかけるCM(ナブテスコ)、人気の歌手、きゃりーぱみゅぱみゅさんが「名前は知ってるけど~(中略)何をやってるかは知らない~」と歌うCM(日清紡)などを見たことはありませんか。

CM中では「社会に必要な会社である」ことをアピールしています。一般的に企業イメージを植え付けるこうしたCMを流す目的の1つには、企業が就活生の親を“啓蒙”することも含まれていると見ていいでしょう。

さらに現場では、説明会に親を同伴させるどころか、内定者の親との懇親会を開く企業さえあります。よい学生を確保したい企業側の苦肉の策としては致し方ないとしても、この現象に、危機感を覚えざるを得ません。

当然のことですが、人間は、自分が知っていることにしか興味を持てません。幼児期教育では、「子どもが興味を示してから勉強させればよい」という言葉を聞きますが、そもそも、普段の生活の中で、興味を持つきっかけとなる機会を与えるような体験をうんと積んでいかないと、子ども自身が何かを新しく見つけてくることはないわけです。

これと同様に、職業に関する興味も、知っていることにしか向きません。ドラマや小説などの影響を受けることもありますが、現実的には、やはり親や親族の職業、身近な人や恩師に大きな影響を受けます。つまり、自己選択の範囲は物凄く狭いのです。

親にも同じことが言えます。社会経験を通じて多種多様な職業があることを頭では理解できていても、実際にその職業に就いている人が身近にいなければ、「ほとんどよく知らない」といっても過言ではないでしょう。そのような状況で、子どもに意見をすることは、かえって子どもの活躍の場を狭めることに繋がります。

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