藤野 ただ、人がどんどん辞めるからブラック企業かというと、そうでもない面もありますよね。たとえばビジョナリーな企業というのは、経営に流れている哲学を受け入れられない社員は、居にくくなる空気感があります。
中野 グリーン企業というのは、決して「生ぬるい」企業ではない。競争はしっかり勝ち抜いていかなければならない。
藤野 競争がないところに進歩はありません。でも競争が激しすぎると、今度は数値目標追求になって、ブラック社員を醸成しやすい環境になってしまう。なかなか難しいね。
渋澤 やらされている競争だから、ダメなんじゃないの。楽しい競争をしよう(笑)。これって、でも仕事全般に言えることだよね。やらされている仕事は全然面白くないし、やらされている感があると、社会的意義の高い企業でもブラック化してしまう。そういうものじゃないかな。
藤野 働くことが必ずしもよいこと、面白いことと思わない人たちというのは、どの組織にも一定数いますね。これはね、上司にも問題がある。部下を動かすとき、とにかく数字のことばかり言って、とにかく何日後までにこれを達成してこいと命令しかしない上司って、結構多いと思いますよ。ちゃんと働くことの意味、このミッションにはどういう価値があるのかということも含めて、上司は部下に伝える義務があります。しかも、これが10年、15年も経つと、今度は命令ばかり受けていた部下が上司になるわけじゃないですか。そうなったら永遠にその企業は永遠にブラック輪廻から抜け出せません。
中野 最近、ブラック企業といえばユニクロ(ファーストリテイリング)とかワタミがよく挙げられていますが、私はこれには違和感を覚えます。だって、両社ともお客様から「ありがとう」って言われるような、社会的に意義のあることをやっているわけじゃないですか。どうも、ここで言われている「ブラック」には、ある種の悪意を感じるんですよね。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら