中野 従業員が搾取されているかどうか、ということですね。
藤野 あとは自分にとって、将来のキャリアパスをつくれる会社かどうかということもポイントだと思います。食い扶持を稼ぐことができ、仕事を通じて人脈や信用を築くことができる。それが次のキャリアに生かせる。そういう会社であれば、仕事の内容がきつくても、ブラック認定はされずに済みます。
中野 一言で「ブラック企業」と言っても、いろいろな解釈がありそうですね。昔は反社会勢力に関連した企業というイメージが強かったのですが。
証券市場のプレーヤーも、ブラック的体質に
渋澤 将来のキャリアパスがない。長時間重労働。上意下達型イジメ構造。このあたりがブラック企業の共通点ということかな。でも反社会的という意味を、もう少し広げれば、世の中にとってよくないことと解釈できるじゃない。そう考えると、たとえば利益の多くを内部留保に回してばかりいて、投資や従業員の給料などに反映させない企業なんかも、ブラックといえるのかもしれない。相談役や取締役の数がやたらと多い企業も、ブラックかもね。
中野 私たち、日本の証券市場を大きく育てていくために、いろいろな活動をしているじゃないですか。最近、特に証券業界を見ていて気になるんですが、昔はもっと証券市場を育成することを意気に感じている証券経営者って、大勢いらっしゃったんですね。でも、今はそういう言葉がほとんど出てこない。内向きですよね。自分たちの社会的使命をつねに考えていて、それをきちっと外部に向かってアピールできないような企業も、やはりブラックでしょう。
渋澤 ブラック投資家っていうのもいると思うよ。要は自分自身が儲けることばかりを考えていて、投資する本当の意義をまったく考えていない人たちのことね。
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