渋澤 本来、サービスをする側、サービスを受ける側の関係はイーブンであるはずなんだけど、おカネを出す側が一方的に偉いと勘違いしている人は、確かにいるね。
藤野 そう。だから、まずはそこの部分の勘違いでブラック消費者がいる。そのブラック消費者は、おそらく会社でいろいろ抑圧されている面があって、ちょっと歪んだ精神構造になっていて、つい自分がおカネを払う側に立ったとき、サービスの提供者に対して高圧的な態度を取ってしまう。
渋澤 そうなると、これは社会の構造的な問題ということになるのかね。
中野 もし、企業側に犯人がいるのだとすると、それは上司の顔色ばかりうかがっているコバンザメのような中間管理職ですね。
渋澤 伝統的な日本の大企業には、いるかもね~。
キャリアパスをつくれるかどうかも重要
中野 いますよ。たとえば私の知っている範囲で言いますと、その会社のトップは非常に優れた人格者で、ブラックとはまったくの反対側にいる人なんですが、下にいる役員が、どうにもヒラメ野郎でして、トップの顔色をうかがうようなことしかしない。
こういう役員は部長連中に対して、「とにかく数字を上げてこい」などと、口を開けば業績の話ばかり。こうなると、部長はストレスがたまりますから、それを次長にぶつける。次長もストレスがたまっちゃうから、課長に当たり散らす。腹が立った課長は、係長に怒りをぶつける。係長は平社員との板挟みになってどこにも文句が言えず、ブラック消費者にもなってしまう。別に係長がすべてそうなるとは言いませんが、この構造で言うと、いちばん悪いのはヒラメ野郎の役員連中ということになりますね。
渋澤 今、世間で話題になっているブラック企業というのは、要するに従業員を低賃金でこき使っている会社ということになるのかな。
藤野 そうですね。だから、高い報酬を払っている場合は、たとえ長時間労働の会社でもブラック企業というレッテルは張られずに済む。
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