「リファラル採用」は日本でも定着するのか 社員紹介による新卒・中途採用が本格化

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新たな採用チャネルの広がりは、学生のみなさんにとって、どんな影響があるのでしょうか。第一に、ラベルではなく能力を、面接用に用意した回答ではなく日頃の言動や姿勢を、どこかで誰かに評価してもらえる可能性が広がります。大学・学部名で判断されるのではなく、クラブ活動やバイト先、趣味で知り合った仲間など、多様なコミュニティでの日頃の経験や培ってきた力を見ていてくれる人がいるかもしれません。

ある大手流通企業では、アルバイトで活躍している人材を採用したいが店舗が多すぎるため、採用担当本部に個々の学生バイトまで把握できていませんでした。せっかく能力も経験もあるバイト学生が応募してくれても、これまでは一般学生に埋もれてしまっていた。それではもったいないと、店舗側から推薦する形でのリファラル・リクルーティングを導入しています。

第二に、志望する業界や職種があっても、なかなか絞り込めない人、どこが自分に向いているのかわからない人にとっては、先輩からの推薦が1つの判断基準にもなり、後押しにもなります。

HPでいくら丁寧に会社説明がなされていても、先輩からの「うちはいい会社だよ、合っていると思うよ」という一言に勝るアドバイスはないでしょう。またいくら詳細に自己アピールをしても、「彼は興味のあることには徹底的に粘れる人間ですよ」という、社員から採用担当への声のほうが、はるかに説得力があると学生は感じています。

推薦・紹介がある会社はロイヤリティが高い

社員によるリファラルなど推薦・紹介制度がある会社は、会社に対するロイヤリティが高い、社員が愛着や誠実さをもてる会社だとみることができると思います。推薦した社員には、何らかのインセンティブ(紹介ボーナス)が設けられているにしても、社員自身がいい会社だと思っていなければ、自分の知人や後輩を紹介しないでしょう。また会社も社員を信頼していなければ推薦を依頼しません。相互に信頼関係が成り立っているからこそ成立するのです。

平たくいえば、リファラル採用で多くの社員を採用できる企業は、社員が、自分の会社を本当にいいと思っている、つまりいい会社だということになるのではないでしょうか。

リファラルで採用されるため、特別なノウハウが存在するわけではありません。誰かの推薦を得ようと、恣意的にその人の前で言動を変えても、効果は低いでしょう。ただ、普段からもっている自分の興味や意欲、人とのつながりが、誰かのアンテナに引っかかったり、参考になり得たりします。そもそも人間の能力は多面的です。リファラルを通じて、多方向から光が当たる、一面的ではない採用が増えていくきっかけになればと思っています。

中山 好彦 リクルートキャリア 事業開発室 ビジネスディベロップメントスペシャリスト

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なかやま よしひこ / Yoshihiko Nakayama

IT業界の採用ソリューション営業を経て、新規事業開発部門にてダイレクトリクルーティング手法の研究開発を行う。プログラミングコンテストを開催した際に、就職に苦戦していた中位校の学生が優勝。「優勝したら内定が出るようになった」と話してくれたことが原点だという。「ラベルではなく能力を評価される仕組みをつくるため」、新規事業開発に取り組んでいる。
 

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