第7 忘牛存人(牛は忘れて人が残った)
―牛のことをすっかり忘れて、自分だけがいる図
「自分はこれまでこの業界、この道一筋でやってきたけれど、考えてみれば、その道は何でもよかったのかもしれない。たまたま、わが人生のしばらくの間、その道を突き詰めることによって、自己と向き合うことをしてきただけなのではないか。仕事に、成功も失敗もありはしない。ただ、自分が自分であればいい」。あなたはふと、そんなことを思います。
第8 人牛倶忘(人も牛も共々忘れた)
―図には、何も描かれていない
「いや、仕事とか、自分とか、それも皆、過ぎたこと……」とばかりに、あなたは虚空を見つめます。心は鏡のように研ぎすまされています。
第9 返本還源(本源にかえる)
―人も牛もいない自然が描かれた図
あなたが見つめる視線の先には、美しい花々や青々とした木々の自然が広がっています。そこにはもはや、自己も他者もありません。価値観や目的も消え去っています。何も思うことのない清らかな心が、何もかもを包み込む宇宙と、ぴったりとひとつになっています。
第10 入てん垂手(ぶらりと町に出て、人と戯れる)
―布袋和尚がぶらりと手を垂れて町に出る図
隠居したと思われていたあなたが、久しぶりに町に姿を表しました。もはや、以前のような成功者の面影はありません。ぼろぼろの着物を来て、まるで世捨て人のような出で立ちで、ひたすらニコニコと、誰彼かまわず、人々に話しかけています。変わった人だと思われながらも、皆と笑い合い、感化させてしまう姿は、そのまま仏さまのようです。過去の仕事での苦労や成功は、きっとこの境地に至るための方便にすぎなかったのです。
どうでしょう。あなたは、今、どのステージにいますか?
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