「専門性を磨けば、キャリアは安泰」のウソ 突然の人事異動にガッカリしているあなたへ

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いくらその仕事が嫌いでも、頑張ると結果は出るものです。6期連続でトップ営業として表彰されました。すると高業績ゆえに、短期間で課長職・部長職と役職が上がっていきました。ただし、仕事は変わらず、営業部門のまま。時間も大分経過して、大嫌いな営業部だったはずが、

「嫌いだけど、結果が出るので、このままでもいいかも」

とあきらめかけていたタイミングに、あこがれの部署にかかわれるチャンスが訪れました。営業部長として、営業企画部門を兼任することになったのです。そこで任された仕事は、

《営業企画部門のマネジメント》

でした。ただ、念願かなって、あこがれの部署で働くことになって気づかされたことがありました。それは、

「若くから専門性だけを追求していたら、営業企画の部長にはなれなかった」

ということ。同じ部署でも、経験とともに求められる役割が変わってきます。そして、部門長クラスになると、現場の視点で重要と考える専門性以上に重要なことがありました。挙げていくとキリがないのですが

・判断する能力
 ・複数の観点から考える能力
 ・人材を育てる能力

など、マネジメントに関することばかり。おそらく当初から営業企画に配属されていたとすれば、誤った価値観で専門性を高める意識に縛られて、違ったキャリアを描いてしまった気がしてなりません。

さて、会社で働く以上は、異動がつきもの。若いうちに配属された職場の仕事で専門性を高めることにこだわりすぎると、逆にキャリアを狭める可能性があります。むしろ、マネジメントとして将来的にあこがれの部署にかかわるというくらいの長期的な視点を持って、

・ひとつの専門性にこだわらない
 ・幅広い視点を備える
 ・マネジメント力を鍛える

といった観点から自分を磨いていけると、むしろ安定した将来の確保が実現できるのではないでしょうか?

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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