「伝説の教師」から学んだ、最強の英語勉強法 日本の英語教育を変えるキーパーソン 石渡誠(中)

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石渡:日本人はまじめなので、それを極めてしまった部分がありますよね。

安河内:解読はできるのだけれども、しゃべることも、聞くことも、書くこともできない人ばかりが生まれてしまう……。それに対するアンチテーゼみたいなものが、松本専門学校ではすでに30年以上も前から行われていたんですね。

石渡:ええ。ちなみに、最初にお話しした3週間の大学受験講習も、半分は英語で半分は日本語でやるということになっていましたが、メインは英語での授業でした。

もちろん、授業では大学受験の問題に取り組みます。英文読解は日本語に訳せという問題ですから最終的には和訳するんですが、和訳の前にまずは英語の文章で置き換える作業がありました。また文法問題もまず英語で全部話してから、最後に日本語で補足説明が入るという感じでした。

ですから、大学受験講習の3週間で英語の学習方法を改めるようなレッスンを受けたと思っています。

ケネディの演説を朗読する意味

安河内:でも、英語があまりできない状態で、突然、英語による授業を受けてついていけましたか?

石渡:英語の部分は、わかっている生徒とわかっていない生徒がいました。私はほとんどわからないクチでしたが、それでも授業がつまらないと感じたことはありませんでした。先生の技量もあったのでしょうが、わからないなりに、一緒に笑えるような楽しい雰囲気がありましたね。また、受験講習のクラスでは英語で話した後に必ず日本語でのちょっとしたフォローがあったので、授業にはなんとかついていくことができました。

安河内:なるほど。もうひとつ疑問に思ったのが、ケネディの演説の朗唱についてです。あの演説は語彙も難しいですし、英語のクオリティが高く難解な部類に入ると思うのですが、それを暗唱する過程で挫折はしませんでしたか?

石渡:私の場合は、歌のように覚えました。まさしく朗唱、朗らかに唄うような感じです。最初はそれでいいんだと信じてやっていましたね。ただ私と違って「歌のように覚えたって、意味がわからなければしょうがない」と考える生徒もいました。特に受験問題に出ない単語をやっても時間の無駄だと思う浪人生が多かったです。

私が歌のようにでもいいからとにかく朗唱しようと思ったのは、「高いレベルの英語を入れる努力をしないと、英語を受け入れるとでも言うべき脳・キャパシティが発達しない」というような話を聞いて、納得したからです。自分のレベルに合わせたものだけをやっていると、あまりにもレベルが低くなってしまう。そこから積み上げていくのもいいが、すごく時間がかかると思ったのです。

私も教える立場になって、この辺りの話を最近は以下のように説明しています。

「人間には、何歳であってもちゃんと言葉ができる才能がもともとあるが、その才能を生かすためには環境も必要。たとえば赤ちゃんならば、周りは赤ちゃんにもわかるようにとやさしく話しかけてくれる。けれども、同時に赤ちゃんは大人同士の会話も聞いている。だから、やさしい会話と難しい会話の両方がインプットされていることになる。このように早く言葉ができるようになるためには、自分のレベルに合ったものをしっかりやると同時に、はるかに難しいレベルのものにもトライしていくことが必要だ」

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