交渉ベタな人は「早期決着」のコツを知らない ストレスから早く離れ、次の利益を生み出せ
調査とは
など、判断を下すための材料を集めることです。この調査が不十分だと後で思わぬ失敗をすることがありますので、しっかり時間をかけるべきです。ただ、返事に時間がかかるケースのほとんどは調査ではなく判断で止まってしまっています。できる調査はしたけど結論が出せず「迷っている」状態です。
私も以前は自分の判断の誤りで失敗することを恐れて迷い、決断がつけられないことがありました。しかし、決断に時間をかけるのは百害あって一利なし。私の場合、たくさんの交渉を経験するうちに、自分に対して「その決断を今しないで明日に延ばした結果、今日よりいい決断ができるのか」と問いかけるようになりました。
将来のことは誰にもわからないのですから100%の答えなどありません。しっかりと調査をしたのであれば、その中から今この瞬間にベストと思える条件をすぐに相手に伝えるといいでしょう。
相手にも熱意が伝わる
スピード決着のために返事をすぐにすべき理由はもう1つあります。それは、返事が早いと相手にも熱意が伝わるということです。相手が出した条件をすぐに社内で検討して返事をすると「おっ、この取引を本気で考えてくれているのだな」「相手も一生懸命考えてくれてたんだな」と受け取られます。
すると相手の方でも「すぐに検討して返事をしよう」と考えてくれますから、交渉のスピードが上がり、早く合意にたどり着けます。逆に、あなたがなかなか返事しなかったとすると、相手からは「あの会社は本気でこの取引をするつもりがない」「うちも適当に返事を返しておこう」と考えられてしまい、なかなか交渉が進まなかったり、最悪の場合には交渉がたち消えてしまったりします。
「交渉の最初の段階では自分に有利な図々しい条件を出すべきなのですか? それとも最初から掛け値なしの本音を言った方がいいのでしょうか?」
よくこんな質問をされることがあります。交渉の最初の段階ではとんでもなく図々しい条件を出して、そのあと少しずつ譲歩していけばいいと考える人はたくさんいますし、実際に欧米流の交渉術ではそのように教えるものが多いようです。
しかし、私は、交渉を丸くおさめるためには、できるだけ駆け引きをしないことをおすすめしています。
1つ例をあげて説明しましょう。
職場で新しく複合機を購入することになり、あなたがその購買担当だったとします。メーカーがつける定価は100万円ですが、値引き交渉をして80万円ぐらいで導入できればいいと考えているとしましょう。
<図々しい条件からはじめた場合>
まずは図々しくいこうとメーカーに対して「60万円にしてくれないか」と持ちかけました。
メーカーからは「とんでもない、うちは基本的に値引きはしていません」と言うので、今度は「そんなはずはない。うちは70万円までしか予算がないのだ」と返しました。
するとメーカーからは「それでは特別に90万円まで値引きをします」と返事があったので、あなたはいよいよ本音ラインを示して「うちもがんばって80万円出せるようにするから、この値段に合わせてほしい」とお願いをします。
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