交渉ベタな人は「早期決着」のコツを知らない ストレスから早く離れ、次の利益を生み出せ

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ところが、メーカー側から見ると、あなたの会社が最初は60万円と言い、その後70万円と言い、さらには80万円と譲歩してきたのだから、実は85万円でも出せるのではないかと考えます。

その結果「80万円ではお売りできません。85万円なら契約しますがいかがいたしましょうか?」と言われてしまい、時間をかけて何度もやり取りを続けた割には、なかなか希望の金額に行き着くことができません。

<最初から掛け値なしの本音を伝えた場合>

一方、あなたが80万円であれば自社にとってもメーカーにとっても十分利益のある取引だと考え、交渉の初めから「80万円でお願いします」と伝えたとします。

当然メーカー側は「80万円では難しいです。せめて90万円でお願いします」と言ってくるかもしれません。しかし、そのときは「80万円であれば当社にとっても貴社にとってもいい取引ではありませんか。80万円であればお取引させていただきますが、それ以上の金額は出すことができません」と改めて同じ金額を提示するのです。

条件を「二者択一」に持って行く

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そうすると、メーカーに対してこの金額を受け入れるか、取引をあきらめるかの二者択一を迫ることができ、メーカーにとってもこの条件で利益があるのであれば、たった2回のやり取りで希望の金額での合意にたどり着くことができるのです。

図々しい条件から駆け引きをすることは、無限に段階のある価格の中から、どこまでであれば自社に有利な条件を受け入れてもらえるかという果てしない作業を繰り返すことになるのに対し、最初から掛け値なしの本音を提示すると、いきなりこの条件を受け入れるか否かの二者択一を迫ることができるのです。

(5)回答に期限を切る

交渉をスピード決着させるためには、あなたが即レスするだけでなく、交渉相手にも即レスしてもらう必要があります。

相手に条件を提示して検討してもらう場合には、「1週間程度でお返事いただけますか?」「ご検討にはどのくらいのお時間が必要でしょうか?」などと上手に回答期限を設定して交渉のスピードアップを図るといいでしょう。

三谷 淳 未来創造弁護士法人 代表弁護士

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みたに じゅん / Jun Mitani

慶應義塾大学法学部法律学科出身。2000年弁護士登録後は横浜の大手法律事務所に勤め、数多くの裁判を手がける。このころ旧日本軍の爆雷国家賠償訴訟に勝訴し、数々のマスコミに取り上げられる。しかし、2006年に独立し三谷総合法律事務所(現・未来創造弁護士法人)を設立すると、裁判はたとえ勝訴しても、時間がかかり、依頼者に強いストレスをかけ、結果的におカネも回収できないケースが多いことに気づき、徹底的に交渉術や紛争予防法を研究する。1日5件、週に20件、年間1000件の交渉を実践し、「日本一裁判しない弁護士」と呼ばれるようになる。紛争の早期円満解決や予防は、トラブルを抱えるクライアントだけでなく、企業経営者からも絶大な支持を受け、現在では「経営を伸ばす顧問弁護士」として地域、業種を超えて全国各地の上場企業から社員数名の企業まで100社近くの顧問弁護士を務める。

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