日銀の「2年で2%物価上昇」達成は不可能 「物価上昇の決め手」賃金は労働者の若年化で上がらず

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これにより、長期金利やリスクプレミアムを低下させ、貸出金利の低下、投資意欲の高揚を図るということらしいが、要は資産価格を上昇させるということである。株を買えば、株価が上昇し、不動産を買えば不動産が上昇する。しかし、これが実体経済にどのように影響を与えるのか。ひとつは、いわゆる資産効果である。持っている資産の時価が上がれば、増加した資産額の一部を消費に回すかもしれない。これが需要として景気を刺激する。

もちろん、これはあるだろう。しかし、一般に思われているよりも効果は小さい。2003年から2007年の景気回復局面でも、円安、株高が進んだが、株高による消費増大効果は極めて限定的であったというのが、研究上の多数派の結果である。

資産市場を刺激することによる効果は、もちろん、資産市場そのものにおいて大きくなる。資産の買い手、つまり、株式と不動産の買い手が増えるのであるから、これらの資産価格の上昇が見込まれる。それならば、これらの資産を先回りして買っておこうとする投資家が増える。その動きを狙って、多くの投資家がこれらの資産を買う。

現在起きている株価上昇の理由のひとつはこれだ。しかし、物価には何の影響もない。したがって、インフレを金融政策で起こすのは直接的には不可能なのである。

しかし、今回の量的緩和で日銀が大量に買うのは、株や不動産よりも、国債である。国債を大量に買い入れ、今後、政府が発行する国債の7割以上を買い占めることになるのが、異次元量的緩和のポイントだ。国債は、株や不動産と何が違うか。

違わない点と、違う点、両方に注意する必要がある。違う点は、もちろん、国債は長期金利を直接に決定する、というか、国債価格とは長期金利そのものであるから、国債を大量に買って、価格を上昇させれば、金利は自動的に低下する。短期金利がゼロである以上、長期金利を下げるしかないが、国債の買い入れはそういう意味で、もっとも直接的に金融緩和による景気刺激を狙う政策となる。

しかし、今のところ、これに失敗している。4月4日の異次元緩和以降、現在は徐々に落ち着いてきたとはいえ、5日以降の1週間は、国債市場が大混乱、国債価格、長期金利は乱高下した。その後も、大量の国債買い入れ政策が打ち出されたにもかかわらず、その発表以前よりも金利水準はやや上昇したままである。

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