3食同じモノを食べて仕事を切り替える 三池監督が語る仕事のこなし方とは

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どう「妥協」するのか

今回の『藁の楯 わらのたて』も木内さんの原作じゃなければ、もうちょっと苦労しないで済むようなやり方を選んだろうなとは思います(笑)。結果、新幹線を撮影するために台湾に行くことになったわけだし、予算的にどうなんだという話にもなった。バブルの頃のように、予算が増えて、規模が広がっていくわけじゃないので。広がった分だけ、どこかを押し込めないといけない。それは監督の本来の仕事じゃないと考える人もいるが、自分にとってはわりと大事なことなんですよ。

たとえば予算の制約で、たくさんライトが焚けない状況になったとしても、照明部さんはどうやったらいい絵を生み出せるのか考えるわけです。いっそうライトなしでいきましょうかという結論になるかもしれない。いろいろな方法があると思うんですよ。制約の中から、特にその制約が自分たちが招き出したものであれば、工夫すると思うんですよ。要は、どう妥協するかというところに、他人との違いが初めて生まれるという。

みんな満足して完璧なものを作っているわけじゃないので。何をもって「うん、これでいいや。完成だ」とするかということですよね。その基準はみんな違うわけで、その「妥協」という言葉そのものが演出だと。自分にとってはイコールみたいなところがありますよね。でもみんな、スタッフもキャストもそれに巻き込まれて大変ですけどね(笑)。

(撮影:今井康一)

壬生 智裕 映画ライター

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みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

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