就活の“後ろ倒し”は迷惑?大学生の本音 首相が「3年生3月解禁」を、経済界に要請へ

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昨年12月の「就活解禁」に併せてリクルートが開いた合同説明会には、就活生が殺到した

安倍晋三首相は4月19日、日本経団連など経済3団体とのトップ会談で、大学生の就職活動(就活)について、「3年生の3月解禁、4年生の8月選考開始」に変更するように要請する。現行の「3年生の12月解禁、4年生の4月選考開始」から遅らせる措置で、最短で2016年卒となる現在の2年生からが対象となる見込み。経済3団体も受け入れの意向を示している。

現行ルールでは、大学3年生の12月に就職活動が解禁され、企業が学生に内定を出すのは大学4年生の4月以降となっている。これ自体が、それまで「大学3年生の10月解禁、4月選考開始」という従来の枠組みを変更しており、現在はルール適用の2年目に当たる。

今回、政府が経済団体に要求する枠組みは、解禁(就活開始)に限って言えば、従来から2カ月後ろ倒しとなった現行ルールを、さらに3カ月遅らせることになる。

「学業に専念する時間を増やす」が大義名分だが…

こうした要請が出てきた背景には、いくつかの事情がある。まず、「就活の長期化を防ぎ、学生が学業に専念する時間を増やしたい」という大学側の意向だ。海外の大学生に比べると、日本の大学生の勉強時間が少ないことは、よく持ち出される話。「学生は勉強すべき」ということに異論を唱える人はまずいない。大学3年までしっかり勉強して、大学4年の前半で就活を終了すれば、残りの時間を有意義に使えるという意見もある。

ただ、実際の理由は上記だけでもない。文化放送キャリアパートナーズの就職情報研究所の研究員で、大学生のキャリア教育を手掛ける平野恵子氏は、「後ろ倒しは大学側と企業側の思惑が一致した結果ではないか」とみる。

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