「親のカネ」を把握していない人に訪れる不幸 元気なうちにちゃんと話して決めておこう
また親本人も忘れがちなのが、若いころに契約した連帯保証です。それが、人生も終盤にさしかかった今になって連帯保証人として借金を請求されてしまうのです。連帯保証といえども立派な借金なので、返済できなければ、家を失う、破産するといったこともあります。
生前から、親の交友関係やいろいろな書類に目をとおし、連帯保証人になっていないか、可能なかぎり確認しておくことが重要です。また、すでに判断能力に問題があった場合に連帯保証人になったときは、契約を取り消せる可能性もあります。専門家に相談してみましょう。
最悪の場合、株主としての権利を失うことも…
⑤ 株券や貸金庫を見落とすな
最後に「株券」や「貸金庫」です。親が所有していることに気づかずに、見落としがちな資産です。
FX(外国為替)や株、投資信託などの有価証券は、つねに価格が変動していて、亡くなったあとに損を出している可能性もあります。上場株式の株券は2009年以降、電子化されており、株券そのものを所有している人は少なくなっています。今も株券そのものを所有している人は、証券会社などで、電子化の手続をおすすめします。電子化前の株式で、名義を書き換えていないと、最悪の場合、株主としての権利を失うこともあるからです。
そして見落としやすいのが非上場株。親族や友人が経営する会社の株を保有している場合は、取引している証券会社などの残高明細にも載ってこないため、把握しにくいので注意しましょう。
受け継ぐ意思がないなら、負の遺産とならないように、親が元気なうちに、株は現金化するのがよいですね。そのまま引き継ぐ場合は、早めに確認しましょう。
貸金庫には、証書、戸籍謄本、土地の権利書、宝石などが入っているケースが多いですが、なかにはお葬式や遺言に関する書類が保管されていることもあります。お葬式の希望について書かれた書類は、葬儀後に発見されても意味がありません。
遺言書も相続が執行されたあとに発見されても、手遅れ。存在に気づかず、親の最後の希望をかなえてあげられないなんて、とても悲しいことです。このように貸金庫の中には予想もしていなかった書類や財産が残されているかもしれないので、あらかじめ存在の有無を確認しておきましょう。
「親とおカネの話をするのは、何だか気が重くて……」と言う人がいますが、話さなかったことで損したり、苦労したりするほうが、よっぽど大変です。おカネは生きることを支える手段。人生のすべてではありませんが、親とおカネについて話しておくことは非常に大事なことです。
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