相続税対策は大丈夫?アパート空室率が急増

神奈川県の賃貸アパートは3戸に1戸超が空室

相続税対策で建てられたアパートの一例。想定外の空室増で、一時は危機に陥った(撮影:風間仁一郎)

「新築のアパートが周りにどんどん建ってきた。そのせいで私のアパートの空室が増えた。家賃を下げたほうがいいのでしょうか」

このような悩みを抱えたアパート・オーナーからの相談が「最近、とみに増えてきた」と語るのは、税理士でアパート経営のコンサルティングも行う渡邊浩滋氏だ。渡邊氏自身、アパート経営では苦い経験をしている。

「固定資産税が払えない」

渡邊氏が母親から驚きの事実を告げられたのは10年前。預金通帳に記載されている残高は本当に「0円」だった。

両親は相続税対策でアパートを10棟建てていた(写真はその一例)。が、空室が増え、家賃収入が減少。渡邊氏が母から相談されたときには、すでに5棟を手放し、残る5棟も86室中13室が空室だった。すぐに対策に着手し、アパートのセキュリティや収納を拡充して、不動産仲介業者の営業も強化してもらって空室を削減。アパートをさらに手放さずに済んだ。

「母と似たような状況に追い込まれている人が、今増えているようだ」(渡邊氏)。実際、賃貸アパートの空室率は足元で急上昇している。

空室率は35%超にも

不動産調査会社タスの調べによれば、首都圏の賃貸アパートの空室率は2015年半ばから上がり始め、神奈川県では35%超に達している。千葉県、東京23区も34%前後へ上昇。3室に1室が空室というありさま。

「空室率急上昇の原因は、新築アパートの供給過剰にある」と分析するのは、タスの藤井和之主任研究員だ。

次ページ日銀も警鐘
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 岐路に立つ日本の財政
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • CSR企業総覧
  • 最新の週刊東洋経済
トレンドライブラリーAD
人気の動画
保険営業 ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨
保険営業 ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨
ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない事情
ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない事情
人望のない人は「たった一言」が添えられない
人望のない人は「たった一言」が添えられない
攻撃的な人の態度を軟化させる絶妙なワザ
攻撃的な人の態度を軟化させる絶妙なワザ
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
漂流する東芝<br>舵取りなき12万人の悲運

再出発したはずの東芝の漂流が止まりません。再建請負人の車谷暢昭社長が電撃辞任。緊張感が増すファンドとの攻防や成長戦略の構築など課題は山積しています。従業員12万人を超える巨艦企業はどこに向かうのでしょうか。

東洋経済education×ICT