シャツを単体で選んではいけません。ネクタイの有無も含め、襟型を考慮したシャツ選びが、実は重要だったのです。昨今、ビジネスシャツを選ぶとき、ボディラインにのみフォーカスしがちですが、ネクタイの有無によって、似合うシャツの襟型が変わることをご存じでしょうか?
ビジネスシャツには、プラスチック製の襟(カラー)キーパーが入っています。襟の強度を保つことはできますが、第一ボタンを開けたとき、必ずしも襟先が安定するとは言い切れません。
定番の「レギュラーカラー」でさえも、第一ボタンをはずした状態では、襟先がピョコッと浮いてしまいます。75~90度の開きがあるこの襟型は、結び目が小さいプレーンノットで絞めるネクタイを前提としているからです。同様に、襟が小さい「ショートカラー」も第1ボタンを外して着る場合、襟先が浮きます。襟先までの距離が短く、ナロータイと呼ばれる細いネクタイに合わせるデザインだからです。
つまり、シャツの襟型によって「合わせるネクタイの太さ・結び方が、そもそも異なる」ということ。では、ノーネクタイに合う襟型とはどんなデザインなのでしょうか?
ノーネクタイに合う「2つの襟型」
シャツは、古代ローマ時代のチュニックがその起源といわれています。中世ヨーロッパでは、貴族が華やかさをアピールするため、華美な襟型が多く、現代の襟型とはまったく異なるものでした。ネクタイを絞めることを想定した現代ビジネスシャツの襟型の多くは、20世紀以降に生まれたのです。
そんな折、1900年頃、ジョン・E・ブルックスが襟先にボタンを付けたシャツを開発しました。英国の伝統的スポーツ「ポロ」を観戦した彼は、「風で襟が乱れることを防ぐために付いていた襟先のボタン」からインスパイアを受け「ボタンダウンシャツ」をつくったといわれています。ノーネクタイで合わせることを想定して開発されたかは定かではありませんが、留めた襟先が浮かないことから、ノーネクタイであってもVゾーンが安定するのです。
一方、まったく異なるアプローチで襟立ちをきれいにする方法もありました。イタリアで人気の「ホリゾンタルカラー」が、ノーネクタイに合うシャツだということは意外と知られていません。180°の開きがあるこの襟型は、第一ボタンをはずしても、その開いた角度によって襟先の形が崩れずきれいに見えます。
2008年頃、大手セレクトショップSHIPSをはじめとした一部のショップでのみ扱われていたこの襟型は、2016年現在ではスーツ量販業界においても定番として販売されています。ただし、ネクタイを合わせる場合、その襟の開きから結び目が大きくなる「ウィンザーノット」、「セミウィンザーノット」に向いていると覚えましょう。
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