日本は中二的発想力で勝負せよ!

メイカーズ革命の本質は「大人げなさ」にあり

「まともな大人の考え」を脱して、勝負する

現代人が満足できる性能の商品をただ量産するのであれば、価格競争力に優れた新興国にはかなわない。だからこそ「高付加価値商品をつくれ」などと言われるわけですが、その「高付加価値」を日本人はある意味愚直に理解しがち。

「では冷蔵庫に空気清浄機能をつけよう」などと〝文字どおり付加すること〟に専念してしまったりします。そういうことではなく、成熟期に入った国ならではの発想があるはずです。

たとえばアイフォーンの成功も、その根底には「こんな電話を持っていたら俺、超クール」というスティーブ・ジョブズの大人げない気持ちがあったはずと思います。

同じように「自転車に乗りながら動画を撮影したいなあ」とか「火星に移住したいなあ」などと、大人が会社で企画会議を重ねていてもきっと出てこない発想で勝負するのが、現代では大切なのではないでしょうか。

多分、こうした発想力こそが、いわゆる「メイカーズ革命」の本質でもあると思います。

考えてみれば、もともと日本人は「大人げない発想」が得意のはずでした。

ウォークマンの「音楽を持って歩きたい」というアイデアも、まともな大人の考えることとはいえません。ほかの分野、バイクや車でも、随分と大人げない企画があり、今でもそうしたヴィンテージ車両のファンがたくさんいます。

いつの間にかわれわれも大人になってしまい、「これこれのパネルをどこそこから調達し月産1万台」などといったことを中心に考えるようになった。

しかしそれ〝だけ〟では現代では勝てない。

宮崎駿さんを例に出して恐縮ですが、世界的に評価される才能というものは、プロデューサー的な大人の感覚も必要だが、大人げない部分も随分とお持ちであろうと思います。

「それはクリエーターだから特別だよ」という意見もあるでしょうが、私はかつての大創業者も、結構、大人げない人たちではなかったかとにらんでいます。

米国のIT企業、特にグーグルは、社内におもちゃを持ち込むような企業風土で知られますが、あれはおそらく「大人の発想では現代では勝てない」ということに気がついているのでしょう。

理性の神アポロンと、豊穣の神ディオニュソスの相克。と、むやみに話を大きくしてこの稿を締めます。

 

【初出:2013.4.6「週刊東洋経済(給料大格差時代)」】 

(担当者通信欄)

中二病というものが、思春期、抽象概念の理解が急激に進むことでもたらされる一時的な(あるいは以降長きにわたって続く)全能感の発現であるとすると、確かにその年頃は、非生産的な空想に日々打ち込んでいたような覚えがあります。内容をほとんど覚えていないことからして、たいして独創的なことは考えていなかった気もしますが。

何気ない空想を独創的に発展させていく力がイノベーションを生むとしたら、「イノベーションを!」「付加価値を!」の号令以前に、求められるのは、そんな発想力を持つ人たちを見出し、彼らに空想させる環境を整備することなのでしょうか。空想も仕事のうち、となると毎日の仕事がさらに楽しくなりそうですが、グーグルのような形でもほかの形でも、それを認めている企業が実際どのくらいあるのか、気になるところです。

さて、実はこの「夜明けの自宅警備日誌」は今回が最終回でした。ご愛読ありがとうございました!全20回、ぜひバックナンバーも合わせて、引き続きお楽しみいただけましたら幸いです。

堀田先生の近刊紹介。中年の青春小説『オッサンフォー』(講談社、2012年)。詐欺師四人組が大阪を舞台に繰り広げる事件も、ぜひ本コラムとごいっしょに♪

 

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実は哲学ってライトノベルで入門できます。たとえば、金髪はの子がデカルト。『僕とツンデレとハイデガー』(講談社、2011年)

 

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