「解雇ルール見直し」に強まる反発 労働市場改革に立ちはだかる高い壁
労働力移動が進まない理由
さらに労働力移動に向けて、「解雇ルールの見直しより大きな問題がある」と語るのが、大久保幸夫・リクルートワークス研究所長だ。
大久保氏によると、日本企業では、40代でも転職を希望する人は約3分の1と少なくないが、実際の人材の移動は20代、30代と比べて急減するという。
「その一つの要因は年功序列賃金にある。現在の会社にとどまったほうが高水準の給料が維持されるからだ。また大企業の場合、自分が外でどんな能力を活用できるかがわからない人が多く、転職先のイメージが湧かない。こうした問題を解決しないと、いくら解雇ルールを見直しても、労働力移動は進まない」
大久保氏は、官と民それぞれでやれることはまだ多いと話す。「たとえば東京に自分の能力を生かせる仕事がなくても、地方に行けば見つかるケースはある。そうした人と仕事の仲介機能を強化する。また、新しい仕事に移るためにも、個々の人材が持つスキルに関連した職業訓練の場を整備することも不可欠」
日本総合研究所の山田久調査部長は、「アベノミクスで景気が上向きつつあるが、日本では景気が上向くと、労働力移動が進まなくなる」と警鐘を鳴らす。「税制優遇で事業交換を促すなど、労働規制にとらわれない複合的な支援が必要」と指摘する。
産業競争力会議から火がついた解雇ルールの見直し議論。しかし、適材適所の人材配置の実現に向け、課題は山積している。
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