「解雇ルール見直し」に強まる反発 労働市場改革に立ちはだかる高い壁

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日本の解雇規制は厳しいか

そもそも日本では、民法で解雇の自由が認められているものの、労働契約法で解雇権の濫用が禁じられている。しかし、「濫用」が何を指すかはあいまいで、実際の整理解雇では過去の判例にのっとり、解雇回避の努力や手続きの妥当性など4要件を満たすことが、事実上の「解雇規制」ととらえられてきた。

ただし、そうした規制が実際に厳しいかどうかは議論が分かれる。経済協力開発機構(OECD)による雇用保護規制の強さを表す指標(2008年)では、日本は30カ国中23位。米国や英国以外のほとんどの先進国より規制は弱い国とされる。

国内の事情を見ても、「大半の中小企業では、4要件を満たさなくても、解雇は当然のように行われている」(労働法務が専門の弁護士)といわれ、企業規模による格差が指摘される。そのため一律に厳しいから緩和すべきという論調は「実態にそぐわない」との反発を招いている。

わかりづらいルールを明確化すべきという論調についても、「解雇の事情には個々の背景があり、一律の基準は難しい」(厚生労働省)などと否定的な声が根強く、議論の方向性は流動的だ。

そもそも解雇ルールの見直しは、デフレ脱却には成熟産業から成長産業への人の移動、すなわち適材適所の人材配置が不可欠であることから、その実現に向けた対策の一つとして産業競争力会議で掲げられた。しかし、労働者の受け皿について議論を尽くさぬまま、「解雇」という言葉が独り歩きしたことで、労働団体から反発が広がった。

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