先日、マーケットの最前線で活躍する盟友と酒を酌み交わす機会があった。いわゆるアセットマネジメントの世界では、わが国において知らぬ者はいない人物である。しかし決してメディアという意味での「表の世界」に出て来ることはない。そうした人物たちのことを、私はマーケットの猛者と呼んでいる。その猛者の典型のような人物がこの盟友なのである。
マーケットの猛者も「日本の独り勝ち」というが…
マーケットの猛者と一般人をくっきりと分けることはただひとつ。前者はたぐいまれなリスク感覚を持っているということである。普通ならば思いもつかない「世界の裏の裏」まで考え抜いたうえで、ポジションをつくり上げている姿を見るたびに、目が覚めるような思いがする。
彼は、実に用心深い。ありとあらゆる可能性・リスクを織り込んだうえで、「今この瞬間」における最善の抜け道を考え出す。言葉を交わすたびに、教えられることしきりなのである。
ところが今回だけは違った。「円安・日本株高」をもたらしたアベノミクスに対する見方があまりにも緩かったのである。むろんリスク分析をしていなかったわけではない。だが彼いわく、あらゆるリスクを踏まえたうえであっても、「日本独り勝ち」は間違いないのだという。
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