その意味で、いまもっとも警戒すべきなのは、一見すると互いに無関係のように見えるリスクとリスクの網の目を見出し、その同時炸裂に備えることなのである。むろんこれにはアメリカ航空宇宙局(NASA)がかねてより警告してきた今年5月ごろに想定される「太陽嵐」の発生といった天変地異の到来も含まれて来る。
いやもっと正確に言えば、そうした人智を超えた事態が発生するからこそ、それまで保たれてきた微妙なバランスが崩され、それまで貯まってきたマグマが同時多発的に噴出し始める可能性があるのだ。まさにその意味で「想定外を想定すること」。これこそが、私たち全員にとっていま最も重要なことなのであって、事態はもはや、やれ株高だ、円安だと騒いでいるどころの場合ではないのである。リフレ派たちが叫ぶ陽気で無邪気な「アベノミクス」論に迎合している暇など、まったくもってないのだ。
もっとも「複合リスク」やその「同時炸裂」といわれても、一体どこから手をつけたら良いのかわからないという読者も多いのではないかと思う。それもそのはず、学校教育では言うに及ばず、企業内教育でもこうした連なりを考えるための訓練を、私たち日本人が学ぶことはないからだ。
そこで4月4日に上梓する拙著『「日本バブル」の正体~なぜ世界のマネーは日本に向かうのか』(東洋経済新報社)ではこのことに焦点を当て、マーケットを中心とした我が国と世界の“今”と“これから”について活写してみた。これをお読みいただければこれまで知らなかったことも含め、「点」と「点」の情報が「線=シナリオ」となり、しかもそれが相互に複雑な形で絡み合っていることを容易に理解できるのではないかと思う。是非ご一読いただきたい。
(撮影:尾形 文繁)
*5月(奈良)と6月(東京)に、原田氏の新刊記念講演会を行う予定です。くわしくはぜひ、こちらをご覧下さい。
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