「書を捨て、町に出よ」はおかしくないか? 読書と実務の正しいバランス

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私の過去の経験がどこまで一般的に通用するかはわかりませんが、私が新しい分野に取り組む場合(具体的には、新規での事業分野や投資候補先の会社、業界の理解などが対象ですが)、缶詰め状態になってひたすら勉強します。具体的には、まず早朝・深夜・土日など自分でコントロールできる(干渉されない)時間帯を使うのです。

そのうえで有料・無料を問わず各種データベースで記事や業界検索をし、さらに八重洲ブックセンターや丸善本店など大きな書店に行って、該当しそうな書籍をあまり取捨選択せずやたらに買い込みます。そして国会図書館に行ってキーワード検索で当たった文献をコピーしまくります。要するにこの段階で資料の選別は一切しません。とにかく非効率でも片っ端から情報を集めます。

そしてひたすら情報を詰め込みます。わからなくてもやめないで読みます。初めは徒労感や非効率さに立ち止まったり優先順位をつけたくなりますが、それを我慢して没頭し続けます。そうして何冊か読み、何百と記事を見ていくと、どこかのタイミングで一気に「つながる」瞬間が来ます。どこでその瞬間が来るかはわからないので、その「つながる」瞬間が来るまでやります。逆に言うとそんな瞬間が来るまで絶対にやめません。これは体力勝負に近いです。こうして、ある意味、無理やりに量を質に転化させます(させようとします)。

想像できるレベルまで要素分解

そして「つながった」、理解したという自覚が出たら、自分の言葉で説明してみます。自分が聞き手だったらと考えて、説明している自分に質問してみます。そうするとわからないところがわかってきます。勉強をやり始めのときは「何がわからないかがわからない」というのがいちばん問題になると思いますが、ここでそのレベルを脱出します。

それから、出てくる数字は身近に想像できるレベルまで要素分解します。たとえば会社や業界の売り上げ全体を眺めてもわからないので、1人当たりいくら買っている(売っている)とか、1日当たりいくら買っている(売っている)とか、そういうレベルまで落としていきます。そうやってイメージにリアリティをつけていきます。

あまり細かいことを書いていくのも連載の本旨ではないので、このあたりまでにしますが、いずれにしても要領よく、効率的になどといった助平心を出さずに、何も考えずに詰め込むのが重要だと思います。

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