キンドルは「1冊99円」が面白い 読書の達人・成毛眞が語る、電子書籍の活用法

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ここ数年、「電子書籍元年」と言われ続けて久しい。今年は「キンドル・ペーパーホワイト」(アマゾンジャパン)がついに上陸。「コボタッチ」(楽天)など相次いで新しい電子書籍専用端末が登場した。だが、コンテンツ数の不足、規格の乱立などで普及には課題も少なくない。(大躍進するアマゾンとその課題については週刊東洋経済12月1日号「新・流通モンスター アマゾン」をご覧ください)。
キンドル上陸で本と電子書籍の未来はどうなるのか。書評サイト「HONZ」(http://honz.jp/)を主催、『ノンフィクションはこれを読め!』(中央公論新社)などの著書もある、元マイクロソフト日本法人社長でインスパイアの取締役ファウンダーである成毛眞氏が展望を語る。

――キンドルが発売されました。実際に触ってみていろいろなビジネスアイデアが生まれたそうですが。

正直言って、1カ月くらい前まで、まったく関心がありませんでした。今でもハードとしてのキンドルにはあまり関心がないし、バックライトにムラがあるなど完成度としても不十分。まだまだ改善の余地があります。

ただ、アマゾンには「検索して購入する」というシンプルな仕組みがあります。これとの組み合わせにより、新しいビジネスチャンスが生まれてきます。もちろん今の書店で売られているような新刊本の置き換えも進むでしょうが、私自身はこれにはあまり興味がありません。これまではコスト的に紙の書籍にできなかったコンテンツを簡単に有料販売できる点こそが、キンドルの価値だと思っています。

「新聞社がニュースを売る」には向かない

コンテンツとしては、「5年後も価値のあるもの」「バラ売りできるもの」が最適かもしれません。すぐに価値がなくなってしまうニュースには向かない。新聞社が最新の新聞を売るというのは、ある意味では最悪の活用法かもしれません。むしろ新聞社であれば、戦前の紙面に掲載されている広告を1つずつスキャンしていったらどうでしょうか。

そして「朝日新聞広告1935年1月」「朝日新聞広告1935年2月」・・・・という具合にパッケージ化して、1冊99円で売る。日付でパッケージ化してもいいし「金融」「生活用品」などという具合に業界でパッケージしてもいいでしょう。歴史のある会社ほど、チャンスだと思います。

当然、ほとんどのコンテンツが、それほど多くは売れない。驚くほど売れないかもしれない。それはそうです、売れることがわかっていればとっくに紙の本にしているわけだから。でも、中にはものすごく売れるものも出てくるかもしれない。

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