キンドルは「1冊99円」が面白い 読書の達人・成毛眞が語る、電子書籍の活用法
古いものは「先にやったもの勝ち」
コストがそれほど掛かるわけでもないので、早い者勝ち。特に著作権が切れているような古いものに関しては先にやったもの勝ちです。キンドルストアの棚に並んでいればキーワード検索で引っかかるので、資料性のあるものは少しずつ売れていくはずです。なにしろ、在庫の心配がありませんから、長期間にわたって紙代や印刷費などのコストがゼロで売れる可能性があるのです。
――それをお手ごろな価格で売っていく、と。
いまキンドルストアをみると、短めの専用書籍が300円ほどで売られていますが、私はこれも高いと思っていて、1冊99円がちょうどいいと思います。これまでの悩みはウェブに載せると課金ができないことでした。マイクロペイメント(少額決済)をできることがアマゾンの最大の魅力でしょう。
もちろん、アップルもあります。しかし、「アイチューンズ」や「アップストア」は、もともと音楽や映画などのコンテンツが中心のため、書籍系は埋もれてしまいます。その点、キンドルは書籍に特化しているから埋もれることがありません。またアップルの取り分が大きいこともハードルを上げるでしょう。
新しいビジネスチャンスは99円のマイクロペイメントだけではない。高い価格で売ってもいいものもあります。たとえば社史。ものすごいおカネを掛けて作っているのに、ほとんど読まれることがない。
これをスキャンしてキンドルにアップしたらどうか、と思います。これについては好きな価格をつければいいでしょう。場合によっては、これから社史を作る場合には、キンドルをおまけに付ける形でも良いかもしれません。
あとは紙の本で復刻してもペイしないような、古い本の復刻でしょう。SFファンの読者、たとえば40~50代で子どもの頃にSF好きだった人は、古い作品をどんどん品揃えしていけば、絶対に買うと思います。