アベノミクスとは、現金の価値が減ること
これからの資産運用のキーワードは「ためふや」

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中野:とにかく、デフレが進んだこの15年間で、誰が一番得をしたのかが、わかりましたよね。それは言うまでもなく、老人や公務員です。要するに所得移転が進んだわけですが、こういった人たちは、どちらかといえば、新しい付加価値を生み出しにくい。もちろん、だからといって社会からスポイルしてもいいということではありませんよ。そこは誤解のないように。

ただ、もう少し付加価値を生み出すべく努力をしている人たちに対して、それに報いるような政治システムや経済システムが構築されることが大事だと言いたいですね。

藤野:今回の円安によって起こった現象は、非常に興味深いものだと考えています。だって、個人金融資産の大半は、高齢者の人たちが現金で保有しているわけですよね。で、そこが円安によって20%以上も、資産価値を失ったわけです。これって、20%以上も徴税されたのと同じことですよね。

渋澤:本当に、これからはキャッシュだけで資産を持つことの怖さが、徐々に認識されていくのだと思います。手前味噌ですが、草食投資隊を通じて、それこそ全国規模で、3年間も投資の大切さを説いてきたことが、ようやくここで報われてきたという感じがするね。

官僚のアベノミクスへのスタンスは?

中野:とはいえ、アベノミクスに対しては、まだまだ批判的な声もたくさん聞きます。既得権益者の声だとすると、こうした批判の声の出所は、高齢者なのか、それとも役人なのか・・・・・・。

藤野:財務省はインフレを望んでいますから、むしろアベノミクスを先導している方じゃないかな。何しろインフレが進めば、これまで発行してきた国債の負担が確実に軽くなりますからね。ただ、ちょっと微妙なところはあると思います。というのも、やはり役所としては、自分の既得権益だけは何としてでも押さえておきたいという気持ちが、常に強くあるじゃないですか。アベノミクスが言うところの「成長戦略」というのは、規制によって守られている既得権益を壊すものですから、今後は各論部分において、規制緩和に大反対する声が上がってくるでしょう。

たとえばインターネットを通じた医薬品販売では、これに反対する勢力による強烈な巻き返しが行われています。このように、規制緩和そのものには賛成だけれども、各論において、自分たちの既得権益が侵されそうになった時、それに対して猛烈に反発する声というのは、これからも出てくるでしょう。

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