アベノミクスとは、現金の価値が減ること
これからの資産運用のキーワードは「ためふや」

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渋澤:30代、40代の人たちが今、どうしておカネを使わず、極端なまでに貯蓄志向を高めているかというと、将来の不安が非常に強いからでしょ。なぜ、将来に対してここまで不安感が強いのかというと、デフレによって賃金が一向に上昇しないからです。もちろん、投資もしない。「個人金融資産1500兆円」などと言っても、30代、40代はなかなか資産形成が進まない。賃金が上昇しない状況下では、貯めることすらままならない。そこをしっかり手当てしなければなりません。

でも、それを政治家に言っても、なかなか理解してもらえない。「そうは言ってもね~。なかなか難しいね~」などとはぐらかされてしまう。そういう状況だからこそ、まずは企業が行動するべきだし、行動しようとしている企業のことは、素直に応援するべきでしょう。

デフレ思考をやめ、付加価値を高めよ

藤野:海外の運用会社に勤めている友人が、「日本の化学業界の経営者は怠慢だ」と言ったのです。なぜかというと、付加価値を高めることで競争をするのではなく、値引きで競争をしようとしているから。

これは大きな問題ですよ。経営者が完全にデフレ思考に陥っている。製品価格を下げるためには、従業員の給与を切り下げなければならない。こうして競争に勝ったとしても、付加価値は全く高まっていないのだから、これは決して世の中に貢献しているとは言えません。

中野:社員から搾取しているような企業経営者はダメですね。値下げすれば良いと考えるのは、経営者としては下の下です。日本は労働生産効率が上がってきていますが、それは人件費の削減によるものです。そうではなく、付加価値をどんどん上げて、堂々と値上げの出来る経営こそが、もっと重視されるべきでしょう。

藤野:だから日本人は会社が嫌いなんですよ。労働強化されているから。結果、会社を応援する気にならない。だから株式投資に対する関心も非常に低い。それが現実です。僕は世の中を少しでも良くするための投資を続けていきたい。運用のリターンを上げるためには、良い会社を応援する必要があります。

中野:そう思っているファンドマネジャーは、非常に少ないのも事実です(笑)。

渋澤:政府は金融緩和、財政政策、成長戦略を打ち出して、ひとつずつ実現させる努力をしているのだから、次は企業側が応える番です。少しでも良い社会にするための方法を考え、積極的に行動してもらいたいね。

草食投資隊 渋澤 健、中野晴啓、藤野英人

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そうしょくとうしたい

コモンズ投信会長・渋澤 健、セゾン投信社長・中野晴啓、レオス・キャピタルワークス社長CIOの藤野英人の3氏で結成。根底には、「長期投資を根づかせたい」という3人の熱い思いがある。「草食投資隊」という名前は、投資=肉食系というイメージが一見つきまとうが、本質は違うのではないか、という3人の共通の考えによる。

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