パナソニック、プラズマ撤退の「必然」 6000億円投資が水泡に

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プラズマテレビの生産を大幅縮小する一方、パナソニックがテレビ事業そのものから撤退するわけではない。収益柱ではないにせよ「家庭の中で見られるディスプレー」には潜在需要が眠っていると考えているからである。有機ELディスプレーにおけるソニーとの共同開発も継続する。

シェアを落としてもテレビ事業は続ける

パナソニック幹部は言う。「テレビというデバイスを作り続けていくことには価値がある。多少シェアを落とそうが、テレビを通じて新しい提案をして価値を認めてもらう、きっちりと継続できるようにもっていかないと。7~8年経ってテレビ事業はもうありませんということは避けなければならない」「パナソニックにとってテレビ事業を続ける、やっていくというのは『責任』だと思う。(責任という意味では)広く言えばどの事業もやめてはいけないのだが、テレビは過去に売ってきたボリュームが(相当量)ある。(パナソニックが取り組みとして掲げている)『スマート&エコ』を進めていくうえで、『顔』になるデバイスですから。IR的、あるいは販売規模としては『顔』ではないが、消費者の皆さんにとっては『顔』である。(だからこそ)収益性も確保できるような体質にしながら続けていく」――。

それではどのように収益を改善していくのか。足元でパナソニックは、液晶テレビのパネルの外部調達を進めている。自社工場で造るよりもコストが削減できるためだ。液晶パネルの姫路工場は、アマゾンの「キンドル・ファイア」など中小型向けを中心に、外販先を開拓している。

CESのインタビューの中で津賀社長は、テレビ事業の先行きについてこう語っていた。「テレビ事業がハードウエアを含んでいるのであれば(利益率10%以上の達成は)難しいと思います。そこまで(の利益を)求めなくても、やる価値がある事業だと思っています」「テレビの収益性を改善するにはさまざまなやり方がありますし、その合わせ技になるかもしれない。収益改善に向けてさまざまなチャレンジをしていく」「(収益改善のために)『サービス』というのは間違いなくやらなければならないと思っている。アメリカが日本に先行しているのは間違いないし、アメリカにおいても日本においてもサービス化がより進むのは間違いない。進むということはカネが流れるわけです」。

プラズマ撤退や液晶の調達見直しといったコスト削減の一歩先、「サービス」による収益性の強化策こそが、28日に発表される中期経営計画の目玉となる。

(撮影:尾形 文繁、梅谷 秀司、ヒラオカスタジオ)

前野 裕香 ライター

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まえの ゆか / Yuka Maeno

1984年生まれ。2008年に東洋経済新報社に入社し記者・編集者として活動した。2017年にスタートアップ企業に移り、広報やコンテンツ制作に従事。現在はフリーランスライターとしても活動中。

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