小泉内閣で経済財政政策担当相などを務めた竹中平蔵・慶大教授は「成功する政治家とは大きな舞台に乗って大化けする人。安倍さんもそうなってもらいたい」と話している。
「化ける」には、形を変えて他の姿に変身する、化粧などで表面を取り繕って別人のようになる、変装する、まったく別のものになるといった意味がある。
政治の世界で、あの程度では首相はとても無理と見られていた政治家が就任後、見間違えるような能力や手腕を発揮したり、高人気を博したり、超安定政権を築いたりして、政治リーダーとしての評価が一変するケースを「大化け」という。それが変身か厚化粧か変装か化学変化かという見極めはむずかしい。後になって化けの皮がはげ、見かけ倒しに終わる場合もある。
大化けの例として、小渕、小泉の両元首相の名前が挙がる。経済最悪の場面で登場した小渕氏は最初、「無力・無能・無策」と悪評だらけで、経済再建や金融再生は荷が重いと見られたが、「なんでもあり」の経済政策と金融再生策が奏効し、一年後に評価が一変した。一方、就任時から高人気を博した小泉氏も、当初は「横須賀のアンちゃんに首相は無理」という声もあり、「1年持つか」といわれたが、5年5ヵ月の長期政権を築いた。
政権2度目の安倍首相は3つの作戦を敢行し、それがいま好結果を生んでいる。
第一は「不慣れ、未熟、不安定」だった民主党政権の逆張りの「練達、成熟政治、手際のよさ」の演出、第二は「強い自民党」の復活、第三は第一次内閣の失敗の教訓を生かす姿勢だ。打つ手が次々と決まり、このまま行けば大化けするかも、という空気もあるが、実際は変身、厚化粧、変装、化学変化のどれに当たっているのか、まだ見極めがつかない。
この先、再登場で「今回は後がなく、背水の陣」と気負い過剰になったり、長期政権の野望を膨らませれば、化けの皮がはげるだろう。
反対に「自分は一度死んだ人間」という気持ちを忘れず、私心と邪心と野心を捨て去ることができれば、大化けの可能性がある。
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