まず、円相場が対ドルで93円台まで下落してしまったことです。ソフトバンクが為替の予約を取っているのかどうかはわかりませんが、最終合意をしていないことから、当然のことながら決済も済んでおらず、為替の予約も取っていないのではないかと考えられます。従って、買収の際はドルで資金を調達して、ドルで支払うのだと思いますが、連結決算を行う際には円換算しますから、いずれにしても円安の影響が響いてくるのです。
また、アベノミクスの動向によっては、金利が上昇するおそれがあります。今までは低金利が続いていたために、多額の有利子負債を返済することができましたが、もし今後、金利が上昇してしまったら、負債の返済が苦しくなる可能性があります。
このように、安全性には問題ないといっても、その後の経済情勢や収益性によっては、経営が厳しくなってしまう恐れがあるのです。さらに、今後は同業他社との競争もますます激化してきますから、事業を拡大させていくことは容易ではありません。
ソフトバンクの先行きは、スプリント買収の状況と、他社との競争にどう勝ち抜いていくかに懸かっているといえます。特に2013年半ば以降の決算に注目することが肝要です。
ソフトバンク以上に安定している、KDDIとNTTドコモ
次に、KDDIの財務内容を見ていきます(財務諸表は省略)。「損益計算書」の中の「営業収益合計」に注目しますと、2013年度(平成24年度)第3四半期までの期間は、1兆8189億円。前年同期間より若干増加しました。それから、「営業利益」も3955億円と前年より100億円程度の微増となりました。
ただ、KDDIの財務的な長所は、「自己資本比率」が55%と非常に高く、安定しているということです。ソフトバンクが30%であったことを考えますと、KDDIは財務安定性がはるかに高いと言えます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら