ソフトバンクのスプリント買収は吉と出るか 携帯キャリア大手3社を比較してみよう

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これは、会社の買収や、営業権などを買う際に計上されるものです。合計しますと、約7174億円の支出があるということになります。

同様に、ソフトバンクのほうも見てみますと、「有形及び無形固定資産の取得による支出」は、4550億円計上されています。ただ、ここで注目したいのは、このところソフトバンクは業績を順調に伸ばしていましたから、その分、設備投資を大幅に増やしたということです。前年は2085億円でしたが、今年は倍以上に膨らんでいます。孫正義社長は、東日本大震災後、「1兆円かけて基地局を増設し、インフラを強化する」と発言しましたが、設備投資を増やしているのです。

KDDIも、「有形固定資産の取得による支出」が3188億円、「無形固定資産の取得による支出」は759億円。合計で約4000億円の支出があります。

携帯電話の性能はどんどん向上していきますし、その分、データ通信量も格段に増えていきます。ですから、設備投資を行わなければ、「つながりにくい」という利用者の不満が噴出するのです。この業種は、設備投資という“カネ食い虫”に悩まされる業種だと言えますね。

今後も、特にキャリア3社の間での競争がますます激化していくと思われますが、スマートフォンへの切り替えや、データ通信量が増えていくことから、市場もある程度は拡大していくのではないかと思います。この中で、それぞれのキャリアがどうやって稼いでいくか。ここが焦点となるでしょう。そして、繰り返しになりますが、ソフトバンクについては、スプリント買収の影響がどのように出るかに注意が必要です。

(撮影:尾形 文繁)

小宮 一慶 経営コンサルタント

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こみやかずよし / Kazuyoshi Komiya

小宮コンサルタンツ代表取締役CEO。大企業から中小企業まで、企業規模や業種を問わず、幅広く経営コンサルティング活動を行う一方、講演や新聞・雑誌の執筆、テレビ出演も行う。著書に『「なれる最高の自分」になる方法』『ビジネスマンのための「習慣力」養成講座』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)、『小宮一慶の「日経新聞」深読み講座』(日本経済新聞出版社)、『株式投資で勝つための指標が1冊でわかる本』(PHPビジネス新書)など。

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