しかし、ひとつ大きな問題を抱えています。ソフトバンクが、米携帯会社3位のス
プリントを買収するために、約201億ドル(約1兆8600億円)という巨額の資金を投じようとしていることです。私は、この買収はリスクが高いのではないかと懸念しています。
今年半ばに本取引が完了するとの見込みであることから、今回発表された決算には、資金調達費用だけしか含まれていません。実際は、おカネも調達していないということです。ですから、買収契約が完了した後のバランスシートと損益計算書にどのように影響してくるかを、注意して見なければなりません。ソフトバンクのバランスシートの片側(資産合計=負債+純資産)は、5兆5115億円ですから、買収する
ために必要な1兆8600億円は自己資金、負債の増加と増資のいずれかの方法、あるいはその組み合わせで賄うことになります。もし、多額の有利子負債を増加させるという可能性もあり、その際には、自己資本比率が低下することとなります。
しかし、万一、すべてを負債で賄ったとしても、自己資本比率は20%を超えていますから、会社の安全性という面では、それほど心配はないかもしれません。しかし、買収を発表した2012年10月から、いくつかの点で状況が変わってきていることも気になるのです。
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