もっと驚くべきなのは、NTTドコモの「自己資本比率」です。NTTドコモの2012年第3四半期の財務諸表を見てください。これは米国方式なので、形式が少し違います。
ドコモの「貸借対照表」を見ますと、「資本合計」は5兆3391億円、「負債・資本合計」は7兆0432億円ですから、「自己資本比率」は75.8%と極めて高く、盤石であるといえるのです。なぜ、ここまで自己資本比率が高いのでしょうか。
それは、携帯電話事業を始めた初期に、かなり儲けたことが基盤となっているのです。「資本」の中にある「利益剰余金」を見てください。4兆0379億円も計上されています。これは、利益の蓄積を表しています。つまり、初期の頃、ほぼ独占だったことに乗じて大きな利益を上げ、それが「利益剰余金」に積まれているということなのです。
しかし、現在の売り上げは、それほど伸びているわけではありません。「損益計算書」の「無線通信サービス」は2兆7871億円と前年同期間より321億円減少しているのです。ただ、スマートフォンなどの売り上げが伸びたおかげで、「端末機器販売」が、前年の3549億
円から今年は5836億円まで増加しています。以上をトータルした「営業収益合計」は3兆3707億円となり、何とか前年より微増しました。
また、「営業利益」の段階で、若干減益の7021億円となりましたが、高収益企業であることは間違いありません。今はスマートフォンなどの新機種への切り替えで売上を伸ばしているということです。
携帯電話会社は、高収益企業であることは間違いありませんが、巨額の設備投資がかかるという難点があります。
平成24年3月期のNTTドコモの「キャッシュフロー計算書」を見ていただくと、「有形固定資産の取得による支出」が、4864億円と出ています。これが、基地局などの設備投資に相当します。それから「無形固定資産及びその他の資産の取得による支出」が2370億円です。
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