むしろ立場や権限がない若手や新人ほど、会社と自分を切り離す傾向があるような気がします。恥ずかしながら私も新人の頃は、会社に対して「もっと研修させろ・行かせろ」だの「この書籍は仕事に関係あるので会社の費用で買わせろ」などと要求ばかりして、会社のカネを無邪気に自己研鑽に転嫁していたような気もします。今思っても赤面してしまいます。
ちなみに若干補足しますと「オーナー(経営者)」は別だと思います。オーナーとはいい意味でも悪い意味でも自分と会社が運命共同体であるので、一切のきれいごとやカネの出所はどこかというのは関係なく、行動原理は根本的に異なります(少し極端ですが……)。一方でこれは批判されるべきものかというと、必ずしもそうでもありません。詳しくは今後の連載の中で機会があれば述べたいと思います。
何をやっても批判されることを覚悟せよ
最後に、責任ある立場の人は何をやっても批判されます。このことにも腹をくくっておく必要があります。
人や会社を動かすには、究極的には人間的魅力や信頼関係が基盤になってくるわけですが、社員全員とはたしてそんな良好な関係が築けるかというと、簡単な話ではありません。
意思決定の中身についても、全員が満足できる結論というのはそもそも幻想です。批判はどんな角度からもできます。
たとえばですが、業務に無駄があり、じゃあその無駄をやめようかという結論になると、本当にやめてよいのか、責任を取れるのかと批判が出ます。それでは腹をくくってやりますと言うと、今度は独断だと批判が出てきます。それでは皆の意見を聞いて決めますと言うと、丸投げだとか決められないとかいう批判に至ります(かつての私自身の苦い経験です)。
社内からだけではなく、社外からも同様です。私も匿名での投書を名指しで受けることがありますが、やはり匿名なだけにかなり気が滅入る内容も多く、うんざりしたり不安でビビったりもします。要はだいぶ心がかき乱されます。この手のことに触れたときには大きく脱力もし、精神的にも結構参ります。
だからこそ「責任ある立場」という存在は、心身ともに充実し健康が大事という、先ほどの当たり前の部分にあらためて帰着するのかもしれません。そういうわけで、今日も早めに寝て英気を養うことにします。
※ 本文は筆者の個人的見解であり所属する組織・団体を代表するものではありません。
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