フランスの観光はテロで大打撃を受けている

イベントは次々に中止、パリの街も閑散

パリ市庁舎前のタクシー乗り場で30分以上も客を待っているというタクシー運転手ジョゼ・サントスさんは、「いつもはアメリカ人でも日本人でもこの時期は観光客がたくさんいるから、こんな長く客を待つことはまずない。テロの影響でレストランでもシャンゼリゼでもどこに行っても観光客がいないよ。本当に厳しいね」とため息をついた。

セーヌ川沿いのオープン・カフェ。客の姿もまばらで閑散としている ©Kiyori Ueno

夏のパリの風物詩であるパリ・プラージュ(フランス語で「パリの砂浜」の意味)。毎年7月下旬から1カ月の間、パリ中心部のセーヌ川岸の一部で川の土手にある車道が封鎖され、一時的に砂の人工ビーチが造られる。

一帯ではヤシの木が植えられ、砂浜にはパラソルとデックチェアーが置かれ、パリにいてもビーチリゾート気分を味わえる場所となっている。ダンスなど様々なイベントが開かれ、カフェやアイルクリームショップも並び、多くの人々が夏のパリを楽しむ。しかし、今年のパリ・プラージュは人工ビーチに並んだデックチェアーは半分以上空き、川岸沿いのカフェもがらがらだ。

パリの7月下旬のホテルの客室稼働率は32%

フランスは過去1年半のうちに大規模なテロが3回起き、フランスだけでなく、世界中に衝撃を与えた。昨年1月のシャルリー・エブド襲撃事件では編集長など12人が、同11月のパリ同時多発テロ事件では130人が犠牲になり、そして先月14日にはニースでは暴走する大型トラックになぎ倒されて84人が犠牲になった(重体の男性が8月4日に死亡し犠牲者は85人に)。その後も7月26日にはルーアン近郊の教会で神父が喉を切られて殺害されるという事件が起きた。

ニースのテロは、オランド大統領が昨年11月のパリ同時多発テロ直後から続き、7月26日に期限を迎える非常事態宣言を延長をしない方針を明らかにしたちょうど同じ日に起きた。フランスが自信を持ち直したタイミングを襲った悲劇といえる。

フランスは毎年8000万人以上の観光客が訪れる、世界でも最大の観光地の1つだ。けれどもテロの観光への影響は深刻で、英紙「テレグラフ」によると、パリの7月下旬のホテルの客室稼働率はわずか32%で、昨年の77%よりも大幅にダウン。フランスのメディアも観光がテロにより大打撃を受けている様子を次々と報じている。2015年の観光客数は減少することになりそうだ。

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