フランスの観光はテロで大打撃を受けている イベントは次々に中止、パリの街も閑散
オランド大統領は、ニースのテロにより、非常事態宣言をさらに6カ月延長した。フランス全土で警察および憲兵隊が増員され、それまで以上に治安確保に力を入れている。地下鉄などの公共交通機関や観光名所などの人々が多く集る施設周辺では、特に手厚く人員を配置することで監視が強化されている。
パリ・プラージュでも警察が土手に降りる入り口に警察車が止まり、警備に当たっており、入り口では持ち物検査が行われている。さらに迷彩服の制服にライフルを抱えた兵士たちが土手を歩いて警戒している。
フランスの警戒モードは夏のイベントにも及んでいる。北部の都市リールで毎年9月の第1週末に開かれるヨーロッパ最大のフリーマーケット「ラ・ブラドリー」もテロの危険があるとして中止がになった。パリ市でも8月7日に予定されていたシャンゼリゼ大通りの歩行者天国が中止になっている。そのほかにも野外映画上映会が中止になるなど、フランス各地で多くの市民、観光客が集るイベントが次々と中止に追い込まれている。
もっとも、パリ市内の主だったホテル、レストラン、カフェ、劇場、美術館は通常通りに営業している。11月の同時多発テロの現場となったカフェでさえも再開している。一部の美術館や劇場では荷物検査や身体検査をするなど、セキュリティチェックは厳しくなっているが、パリの街を歩いていて不便を感じることはほとんどない。
デンマークの首都コペンハーゲンから1週間の予定で妻とパリに来たという59歳のIT企業経営者のレオ・クリスチャンセンさんは1年前に今回のパリ旅行を計画した。「テロはあったが旅行のキャンセルは考えなかった。今ではテロはどこでも起きているからね」と話す。「実際、パリを歩いていてテロのことが頭をよぎることもあるが、警察もあちこちにいるし、不安はほとんど感じない」と語った。
洪水、雨・・・天候にも恵まれず
今年のフランスは天候にも恵まれていない。6月初旬には数日間続いた豪雨によって記録的な降水量によりセーヌ川が増水し、過去30年で最も水位が高くなるという事態が発生した。川岸に近いルーブル美術館とオルセー美術館では収蔵品の一部を安全な場所に移すため、一時休館にした。またパリ近郊の一部地域では軍が出動し、取り残された住民を避難させた。
パリは7月も記録的な寒さが続き、夏らしい暑さがあったのはほんの1週間ほどだった。8月になっても雨や曇りの日も多く、例年より肌寒い日が続いている。
パリの北東部を流れる地元の人がカナルと呼ぶ運河を歩いていたパリ在住のマイケル・オートヴァンさんは、「いつもなら、毎年夏は溢れんばかりの人々が岸辺で夜遅くまでピクニックをしているのに、今年は天気も悪いからか、人が本当に少ない。こんなのは初めて見るよ」と信じられないといったような顔つきで話した。
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