いよいよバブル相場がやってくる!? 山崎元が読む、ちょっと先のマーケット

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では、1986年はどうだったか。この年、筆者ははじめてファンドマネージャーとして自分で運用するファンドを持ったという個人的な事情もあり、このころのことが、割合鮮明に記憶に残っている。

1986年は、かのプラザ合意の翌年だ。1985年のプラザ合意がもたらした急激な円高で輸出企業を中心に企業業績は悪化した。一方、円高を背景に長期金利が低下し、日銀も公定歩合を下げるなど、金融環境は緩和に向かう。こうしたなか、業績はまだ回復していないが、「カネ余り」と業績回復期待を背景に、株価は1986年1年で42.6%ほど上昇した。

このムードは翌1987年に引き継がれるが、同年には、米国で「ブラックマンデー」の大暴落が起こり、日本株もこの影響を受ける。しかし、日本が世界経済を引っ張るという今にして思うと壮大すぎる名目の下に、金融緩和と財政支出による需要の追加が行われ、株価は立ち直る。終わってみると、この年も株価は上昇した(15.3%上昇)。

その後、1988年(39.9%)、1989年(29.0%)と80年代いっぱいは上昇相場が続き、1990年の年初から株価が崩れて、バブル崩壊が始まった。

たとえば、株価だが、現状はまだバブルではない。東証1部のPERは約20倍で、これは益利回りにして5%ある。名目成長率の政府見通しは2.7%(2013年度)あり、これらを合わせた7.7%は、長期債利回り(約0.7%)を約7%も上回っている(注;この計算結果が5%を下回ったら株価は「高すぎる」と筆者は判断することにしている)。政府見通しがやや楽観的に過ぎるかも知れないが、それでも、まだ株価が高いとは言えない。

また、デフレ脱却のための金融緩和政策は、今後しばらく徹底する必要がある。この点にも疑いはない。

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