中国の富裕層が、日本に来る本当の理由
これは余談になりますが、中国では高額所得者の所得税は日本以上に厳しいものがあります。そこで、友人の中国人達もいろいろな形の節税対策をしています。たとえば中国人富裕層の6割が希望している海外永住権の取得。これを持っている人は、毎年90日以上海外に滞在していると免税措置が受けられるので、永住権を取得した富裕層はやたら海外に出かけます。週末に1日足して休暇を取ったり、国外でのプロジェクトを無理やり作ったり。その行先が東京であるケースも少なくありません。
仕事に何の関係もなく、東京に滞在しているのですが、富裕層にとっては住みやすく、過ごしやすいようです。本当に日本好きの富裕層は、熊野古道(和歌山県~三重県)など、日本人でもなかなか訪れる機会を持てない場所にも行ったりしています。そういう観光地をこまめに選んで90日間を埋め、節税している。もう日本に100回以上行っているという人もたくさんいて、彼らは私などよりよっぽど日本の観光地に詳しくて、自分が恥ずかしくなるほどです。
もう一つエピソードから事業機会を探ってみますと、最近、台湾出身の私の友人と上海出身の妻の間に子どもが生まれました。中国では帝王切開が主流なのですが、その夫婦は母体を傷つけたくないから自然分娩したいと、上海でいちばんいい病院に相談しました。すると「出産の日時が読めないから、廊下で待たせることになるかもしれない」と断られたので、日本の病院で出産することにしました。
しかし、奥さんのご両親が中国人民解放軍の幹部で、日本で生むことに大反対しました。結局は子どもの選択に逆らえず、しぶしぶ日本に来て出産に立ち会ったら、日本のファンになってしまいました。「病院はサービス業だということを日本で初めて知った」そうです。こういう分野でもインバウンドには大きな可能性があると改めて感じた次第です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら