出生率1.18でも中国があと10年成長するワケ

ポイントは、「生産年齢人口」と「富裕層」と「都市化」

中国と日本の人口ピラミッドの違い

まず中国の生産年齢人口(人口のうち、労働力の中核を成す15歳以上65歳未満の人口)比率です。2011年に2010年の74.5%から74.4%へと前年比で初めて低下してニュースになりました。日本の生産年齢人口比率のピークは1992年で69.8%でした。これは日本のバブル崩壊、失われた20年の開始時期とも重なります。そう考えると、中国もやはり大躍進が終わって崩壊に向かい始めたと考えてしまがちですが、そうではありません。

その根拠を3つのポイントで説明します。

1つ目は、中国の生産年齢人口比率が、あと15年はそれほど変わらないという点です。2011年に初めて低下した生産年齢人口比率については、今後の推移をさまざまな専門家がシミュレーションしていますが、このまま15年間は70%以上、つまり日本のピーク以上の比率を維持すると考えられます。

この背景にあるのは中国の不幸な歴史です。右図にあるように第二次世界大戦から国共内戦や朝鮮戦争、さらに1960年前後に起こった大躍進政策の影響などがあり、1963年以前に生まれた現在50歳以上の人口が圧倒的に少ないのです。日本では、団塊の世代が生まれた1949年が年齢別出生数のピークであり、中国では1970年にピークがありますが、ピークに至るまでの過程がまったく異なります。したがって中国では生産年齢人口はしばらく減らないのです。

日本の生産年齢人口比率を見てみると、ピークは確かに1992年ですが、1965年から2000年ごろまでずっと67~69%台を行き来して、2000年代に入ってから本格的に低下しています。

実のところ日本は、戦前は非常に安定的に出生数が推移してきた国です。1920年に初めて出生者数200万人を超えた後、1943年まで出生者数は毎年190万人~227万人の間でした。団塊の世代の後、1953年に出生者数が戦後初めて200万人を切ると、第二次ベビーブームの4年間を除き、200万人台に戻ることはありませんでした。この結果、団塊の世代が生産年齢人口から退場する2010年よりも前から、生産年齢人口比率がじわじわと低下し始めたのです。

他方中国が人口ボーナスを一気に吐き出し始めるのは、1963年生まれからの多人口世代が高齢者に差し掛かる2028年以降、ということになります。つまり、中国の生産年齢人口比率が本格的に低下するまで、おそらくあと15年ぐらいかかると予測できます。人口ピラミッドの観点から懸念される経済停滞の可能性についても、日本と一緒くたにすることなく、こうした事実を前提に冷静に見た方ほうがいいと思うわけです。

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