2つ目は、若い富裕層のさらなる拡大です。中国で600万人民元、約1億円以上の資産を持つ人の数は劇的に増えていて、2011年時点で270万世帯にも上ります。しかも、その平均年齢は39歳と非常に若いです。実際、私の周りにも30代から40代前半の億万長者は多いです。
この背景にも中国の歴史が影響しています。今の50代後半以降の人は文化大革命によってほとんど大学に行っておらず、優秀な人ほど農村で農作物を作っています。その結果、現在、中国にいる優秀でおカネ持ちな人々は若い人ばかりです。ここでも中国の不幸な歴史が人口ピラミッド以上に資産を若者に集積させているという皮肉な実態が存在するわけです。
日本の富裕層より2回りほども若い世代がおカネを持っているということは、非常に大きな意味があります。39歳の1億円と65歳の1億円は持つ意味が随分と違います。「人生はこれから」と思う世代はお金をため込まずに消費や投資をします。自分にも投資するし、家族にも投資するし、未来にも投資します。
中国のおカネ持ちは、女性が4割
加えて、日本と大きく異なるのは富裕層の4割は女性だということです。富裕層の若さや女性比率の高さが少なからず影響して、高級品市場はすでに世界の4分の1を中国人が消費しています。
2015年には、富裕層は今の2倍になるという予測もありますし、高級品市場の3分の1を中国人が消費すると予想されています。中国の格差が問題になっていますが、これは消費意欲が旺盛で、価値観もグローバル化した富裕層が確実に増えていくということでもあります。
実際に中国の富裕層の調査をしているリポート会社「胡潤百富」で、富裕層が好きなブランドとして挙げるのは、プラダやエルメス、ルイ・ヴィトンなど、欧州のブランドばかりです。中国のブランドで出てくるのは、せいぜい「茅台酒」というお酒の銘柄ぐらいで、アジアのブランドは日本も含めて皆無です。
しかし、観光地でいうと、日本の人気が非常に高いのです。昨年は尖閣問題があったため、観光したい場所ランキングで日本はランク外になりましたが、それま では5位ぐらいでした。それより上位は、フランスや観光ビザ免除のモルディブ、アメリカなどです。要するに、中国の富裕層が観光したい場所ベスト5に、通 常のアジアの国では日本しか入らないのです。そういう意味では、海外から日本への観光客を呼ぶインバウンドには大きな可能性があります。
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