中国の大躍進が続く根拠の3つ目は、都市化です。2011年に中国の都市化率は51.27%に達し、都市に住む人口が、農村に住む人口を初めて超えました。1979年以降、年率平均で約1.3%ずつ上昇し、都市の人口が2000万人ずつ増えています。都市人口比率が70%に到達するまで、あと15年程度は同じようなペースで進行すると予想されています。中国ではこれまでも都市化が成長のドライバーでしたし、これからも成長のドライバーであり続けるでしょう。
都市化をどう進めていくかは中国政府のひとつのテーマになっています。日本や韓国、フランスのように一都市の集中型にするのか、それともドイツのように分散型にするのか、あるいはアメリカのように分権型にするのか。中国政府は分散させたいと思っています。20程度の都市クラスターを作り、その周りにいくつか衛星都市ができて、住宅地ができ、都市と都市の間が都市交通で結ばれている。そういう未来予想図を描いています。
ナンバープレートは120万円
その一例として、地下鉄などの都市交通計画を上げたいと思います。2003年に中国政府により発表された、都市人口が150万人以上であること、などの都市別の都市鉄道設置基準によると、都市鉄道が必要な都市が現時点で180程度存在します。
しかし、現時点ではまだ16都市でしか運行が開始されていません。上海ですらまだ4~5路線を造っている状況です。当然、今後は各都市にターミナル駅ができ、新しくできた路線の先に住宅が建設されていくでしょう。これが間違いなく需要の中心になります。公共事業の経済インパクトという意味でも、最近問題になっている大気汚染問題解決の観点からも都市インフラの投資は優先順位が高いので、地方財政の問題を越えて実行される可能性が高い投資だと思います。
先行事例として上海を捉えると、都市交通の投資が加速していく可能性を感じます。今上海では自動車を買うのと同じぐらい、ナンバープレートを取得するのにお金がかかります。オークションで落札するのですが、この2月は平均落札価格が8万元を越えました。車を買ったうえに追加で120万円出さないと運転できないのです。
そんなに高額でも、上海に住んでいる限り、上海ナンバーでないとピークアワーや平日に走行できない幹線道路が多々あり、車取得の恩恵を被れないからオークションで勝つしかないわけです。こうした状況をみても、中国政府は都市交通に間違いなく加速投資をしていくと思いますし、都市鉄道と環状道路によって、中国は、日本の街に似たような街にどんどん変わっていくはずです。
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