「椿山荘」衣替えに懸ける藤田観光 脱フォーシーズンズが復活の第一歩に
1952年開業で60年の歴史を持つ、東京・文京区の高級総合宴会場「椿山荘」が、この1月1日に衣替えした。正面玄関からは「フォーシーズンズホテル」の名称が消え、代わって掲げられたのは「ホテル椿山荘東京」の大看板(写真)。世界的ホテルチェーンとの契約を終了し、独立独歩で新たな成長戦略に進もうとしているのだ。
ホテル改装費用の一巡で採算改善
ホテル椿山荘東京を運営するのは藤田観光。婚礼・高級ホテル部門では、椿山荘のほか大阪に「太閤園」も持つ。さらに、ビジネスホテルチェーンの「ワシントンホテル」に加え、温泉テーマパークの「箱根小涌園ユネッサン」やゴルフ場のリゾート部門も抱える総合レジャー企業だ。
藤田観光の今2013年12月期は、前12年12月期に前倒しで計上していたホテル椿山荘東京の衣替え費用がなくなるために採算が改善。前々期の11年12月期と同水準になる営業利益13億円(前期比48.1%増)へ大幅増益を予想している。
もっとも、ピークの1990年代前半には営業利益90億円を稼いだこともある藤田観光にとっては、利益回復過程の第一歩に過ぎない。
「客が流れる」同業他社からは恨み節も
藤田観光の前12年12月期決算では、売上高が604億円(前期比5.5%増)と増収だったものの、営業利益は8.7億円(同33.4%減)と大幅にダウンした。
リゾート部門の主力である箱根地区が書き入れ時の秋に好調であったうえ、椿山荘などブライダル部門でも震災影響が消えた。ただ、ビジネスホテル部門では、尖閣諸島問題に伴う反日感情の高まりから期末にかけて中国人客が急減。震災後に抑制していた賞与など人件費を戻したことに加え、ホテル施設の改装費用や広告宣伝費がかさみ、利益を圧迫した。
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