だからと言えばカッコよすぎだが、今から26年前、私は一人娘をインターナショナル・スクールのキンダーガーテン(幼稚園)に入れた。当時、横浜には3つのインターがあったが、そのうちのひとつセントジョセフ(2000年廃校)に、娘は3歳の誕生日の直前の9月から通うことになった。
この入学の経緯については次回に書くので、今回書いておきたいのは、その後、娘が小学校入学学年になったときの出来事だ。
「お子さんは日本人になりませんよ」
日本全国どこでも同じと思うが、子供が小学校就学年齢に達すると、役所から「入学通知書」が来る。翌年の4月から就学する学区内の学校名、健康診断の日時などが書かれている。
当然、私のところにも来た。しかし、その時点ですでに娘はキンダーを終え、エレメンタリー(小学校)の1年生になっていた。そこで、在学証明書を出してもらい、役所に指定の小学校には進学しない旨を届けに出掛けた。
すると、窓口の係の男性は、「そんなものは受け取れません。インターは日本の小学校ではないので不受理です」と言った。
「そうなんですか? 進学しない場合、たとえば私立に行くなどの場合は、届けるようにとのことでしたが。では、どうすればいいんですか?」
「そんな日本国民でないようなことをする人間に教えられませんよ」
この言葉に私はカチンと来た。まるで、非国民扱いではないか?
「何か間違っていますか?」
「ええ、お子さんは日本人になりませんよ」
結局、就学先の小学校に連絡し、行かないことを告げてほしい。それだけやっておけばいいということになった。ところが、私たち夫婦はこれをうっかり忘れてしまった。
4月になって、その小学校の校長から電話がかかってきた。
「お宅のお子さん、入学式に来られませんでしたが、どうかなさったんですか?」と言うので、事情を説明した。すると、「そうですか。そうされても、これは義務教育ですから、名簿と席はそのままになり、不登校扱いになりますよ。インターは文部省認可の学校ではありませんから、お子さんは小学校も中学校も卒業したことになりませんよ。日本人に育てないのですか?」と言う。
しつこい先生だなと思ったので、「いや、日本人にするためインターに入れたんです。異文化を知り、英語を話せなければ日本人にならないでしょう」と言うと、こちらが頭がおかしいとでも思ったのだろう。「お好きなように」と、電話は切れた。
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