――はい、とても不思議です。
ユッカ・パヤリネンさん:そこでEfficiency (能率)がとても大切になります。短い時間しか働かないので、その間はとにかく効率的に物事を進めるようにします。たとえば、ミーティングを行うときには余分な世間話はせず、すぐにビジネスの話に入ります。
そしてフィンランド人は決断が速く、物事が速く進みます。日本人が3時間の会議を5回して決めることを、フィンランドでは1時間で決めてしまうというような話もあるぐらいです。
――重要な決断は誰がするのですか?
ユッカ・パヤリネンさん:それを任された1人ひとりです。もちろん大きなプロジェクトの場合はボスに聞きますが、普段は現場の判断と責任で、どんどん決めていきます。
たとえば(大使の部下である)私も、日々のことを大使に1つひとつ話し、決断を求めることはしません。大使も報告してほしいと思っていないでしょう。それは私に任されたものだからなのです。
1人ひとりに責任があり、信頼して、任されています。そういった意味でTrust(信頼)とresponsibility(責任)もフィンランドの特徴と言えますね。
もし私が失敗をしたら、それは私の責任なのです。集団の中での連帯責任というのはなく、あくまで個人の失敗であって、全体の問題ではありません。
――信頼されて責任を持たされるということは、逆に言えば、個人個人にとても力が必要ということですよね。どうやってその強さは作られるのでしょうか?
ユッカ・パヤリネンさん:子どもの頃からの教育で育まれるものではないでしょうか? 学校では先生がただ教えるだけではなく、生徒たちが自分自身で調べて進める、自主的な教育が行われています。子どもの頃から責任を持つように育てられ、そこで1人ひとり自立していきます。信頼されて任されることが嬉しいと思うようになるのです。
まわりくどい話し方は、しない
――決断の速さという話に戻ると、日本は決断までに時間がかかることがありますね。
ユッカ・パヤリネンさん:そうですね。決断までにあまり時間をかけると、もう興味がないのかと思われ、ビジネスチャンスを逃すことがあります。フィンランド人は速い決断を望むことを、理解しておかないといけないですね。
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