ポケモンGO利用規約、日本でどこまで有効か 法律は"消費者"であるユーザーを守っている

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平日夜の錦糸公園(東京都墨田区)の様子。大勢のポケモントレーナーが集まり、「ポケモンGO」に熱中していた(撮影:今井康一)

「ポケモンGO」の不適切な使用による、警察の検挙や事故などの報道が相次いでいる。車やバイクを運転しながらプレイをしている人などもいるようだが、非常に危険であることは言うまでもない。こうした行為をして何かあった場合、原則として自己責任であることは当然だ。

ただ、「ポケモンGO」は、位置情報を活用したAR〔Augmented Reality(拡張現実)〕ゲームで、これまでに例を見ないほどのユーザー数を持つ。ユーザーの現実世界における注意力が減じられたり、多数の人が特定の場所に集まってしまうことで、今は顕在化していなくても、今後どのような法的紛争が起きるかは予測がつかない面もある。

日本で裁判を起こすことは可能?

「ポケモン」という名前から、任天堂が作ったゲームと考えている人はまだまだ多いが、「ポケモンGO」を製作したNiantic,Inc(以下、ナイアンティック社)はアメリカの会社だ。ナイアンティック社は利用規約において、免責条項に加え、訴訟にならないための仲裁合意の規定や、カリフォルニア州法を準拠法とすること、といった条項を盛り込んでいる。前回、この問題を扱った記事(「ポケモンGO」利用規約に仕組まれた"ワナ")では、「ポケモンGO」の利用規約の中でも特徴的な部分を紹介したが、この規約は、さまざまな戦略を巡らせた上で作成されているはずで、「訴訟社会」アメリカを前提としたものとしては、一般的といえるだろう。

ただ、前回記事では、そもそも規約が「日本国内においても効力を有するか」については検討しきれなかったため、規約自体をもって日本においても「危ないゲーム」であるかのような印象を与えてしまったかもしれない。そこで今回は、規約の一部である管轄、仲裁合意、準拠法の問題について「もし法的紛争が起きた場合、日本ではどのような扱いになるのか」について考えていく。

インターネット関連の法律問題に取り組む最所義一弁護士は、「外国法人に責任追及をすることは簡単ではないことは事実だが、規約の内容にかかわらず、日本でナイアンティック社を相手に裁判を起こすことは可能」と話す。

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