ラジオで音しか情報が伝わらなかった1950年代に、テレビが登場して映像が伝えられると、確かに驚いた。テレビ放送が始まると筆者の家にも時をおかずしてテレビが登場した。
さらにカラーテレビの登場で、白黒でしかなかった映像に色が付いたのは素晴らしいと思ったが、音だけの世界に画像が加わったことに比べれば衝撃は小さかった。カラー放送が始まってから、我が家にカラーテレビが登場するまでには、少し時間がかかった記憶がある。薄型テレビの大型のデジタル画面は確かに美しいとは思ったが、自分も買おうと思うまでにはかなりの時間がかかった。
これらの変化は、それぞれ技術的には画期的なのだろうが、消費者としてどの程度欲しいと思うかという点から考えると、次第にそれほど大きな魅了を感じなくなってきたのは確かだ。
日本経済が発展を続けるためには、インターネットやiPadのように革新的なアイデアが必要で、高価であっても消費者が購入したいと思う革新的な新製品を次々に生み出さなくてはならないという意見は多い。
身近なサービスの提供で経済成長できる
しかし、そのような難しいことを考えなくても、我々の身近には、人々がどうしても欲しいと考えているモノやサービスがまだまだある。介護や医療、子育てなどの社会保障分野にはこうしたものが多いが、それをより多く供給するという構造転換によって、実質GDPを拡大させて経済成長を実現できるはずなのだ。
社会保障分野主導で経済成長をというと、ロボットを導入するとか、高度な技術や高価な設備を導入することがすぐに頭に浮かぶ。しかし、生産性が高いか低いかは、消費者が生産されたモノやサービスに対してどれだけの価値を見い出すか、つまりはどれだけのおカネを支払うかということで決まる。生産方法に高度な科学的・工学的な技術や知識を要するかどうかということは本質的ではない。
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