TPP参加なら、輸出よりも輸入が増える

日本の経済成長には、内需がとても大切

安倍総理が3月にTPP(環太平洋パートナーシップ協定)に向けた交渉に参加することを公式に表明して以降、事態は急速に展開し始めた。現在交渉に参加している国々は、4月に開催された閣僚会合で日本の交渉参加を正式に承認し、夏ごろには日本も本格的な交渉に入ることになる。国内でも対応策についての本格的な議論が始まった。

TPPで外需は減少という政府試算

この連載の一覧はこちら

日本の交渉参加決定と同時に発表された政府による効果の試算によれば、これによって実質GDPが3.2兆円、0.66%押し上げられるという。この数字にはいくつかの注目すべき点があるが、最も興味深いのは外需がマイナスになっていることである。この試算を見ると、多くの人々が考えているような、「TPPで外需が増えて経済成長が起こる」というストーリーと政府が考えていることとは違うことが分かる。

TPPに参加して輸出が大きく伸びることで日本経済の成長が実現すると考えている人も多いだろう。しかし試算の中身をみると、確かに輸出は2.6兆円増加するが、これに対して輸入の増加は2.9兆円もあり、輸出よりも輸入の増加幅の方が大きい。海外からの需要は差し引きすると0.3兆円減少するのだ。政府試算では、外需はわずかだがGDPを押し下げることになる。

試算で日本のGDPが3.2兆円増えるのは、海外の需要を取り込むことができるからではない。消費が3兆円、投資が0.5兆円、合計3.5兆円の国内需要が増加するからである。

次ページ高度経済成長期に批判された「花見酒の経済」
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 森口将之の自動車デザイン考
  • ほしいのは「つかれない家族」
  • 「薬害・廃人症候群」を知っていますか?
  • 就職四季報プラスワン
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
「氷河期」を救え!<br>どこまで進む?就労支援

バブル崩壊後の不況期に学校を卒業し、就職難に苦しんできた「氷河期」世代。彼らをめぐる状況が変わり始めています。政府は650億円を投じ就労支援を開始、中小企業の正社員採用も広がってきました。この好機を生かす秘訣を探ります。