花見酒の話の経済活動は、二人の男が一国の経済で、酒屋と花見客は海外経済だとして、二人組の経済活動のGDP(国内総生産)が計算できる。二人は酒屋で酒を買い、水で薄めて2倍に量を増やし、花見客のところに運んで売ってもうけようとする。GDPの需要項目で考えると、酒屋から酒を買うのは輸入であり、水で薄めて花見客のところまで運ぶという生産活動を行って付加価値を付けており、花見客に酒を売るのは輸出だ。
自分たちで飲んでしまってもGDPは変わらない
二人が当初の目論見通りにしたとすれば、酒を花見客に売って手に入れた金額から、仕入れで酒屋に支払った金額を差し引いたものが、国内のGDPになる。例えば表の(1)のケースのように、最初に1杯100円の酒を10杯分仕入れて、20杯分に水で薄めて花見客に売ったとすると、輸出が2000円で輸入が1000円、GDPは差し引きの1000円となる。
一方、花見酒の話では二人が途中で全部酒を飲んでしまったが、これは原材料の酒を輸入して自分達が加工した酒を国内で消費したことになる。二人が酒を飲むために支払った酒代が国内消費であり、仕入れで酒屋に支払った金額である輸入を控除してGDPが求められる。薄めて作った酒20杯を1杯100円で買って飲んだのだから酒の売上額である消費金額は2000円で、仕入れた酒の輸入額は1000円だ。表の(2)のケースのように自分達で飲んでしまっても、GDPは1000円で変わらないのである。
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