一見すると、元に戻ってしまっただけのように見える。だが、経済が発展した結果として人々の価値観が変化しており、背景となる状況が異なっている。元と同じ生産方法に戻っていても、螺旋階段のように一段高いところにたどり着いているのであって、全く元とと同じところに来ているわけではない。
重要なことは、実質GDPが増えるということは、人々が高い価値を感じる製品やサービスをより多く提供するということであって、それを提供する方法が簡単か難しいかということとは関係ないということだ。使っている技術がより新しいもの、高度なものであるかどうかということは、経済発展にとって本質的ではないのだ。
画期的な技術、革新的なアイディアは必要か
「サービス業は製造業に比べて生産性の向上や技術進歩の速度が遅いから、サービス業が発展しても豊かになれない」という声をよく聞く。だが、それは誤りだ。科学技術の発展や生産工程の技術革新など、製造業の生産性向上の重要性を否定するわけではないが、同じ労働力で提供できる数量の増加だけを生産性の上昇や技術進歩としてとらえるのが誤りであることは、上の野菜の生産の例で見たとおりである。
そもそも、製造業の世界で「人々の欲求をかきたてるような発明や、新製品を生み出し続けることも容易ではない」ことは、日本企業が経験してきたことだ。
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