この授業は、20人の少人数制。毎回、必ず1人5分程度の発表をしなくてはならない。第1回目は「自己紹介」、第2回目は「私の好きな企業」など、簡単なお題だが、回を重ねるごとに、グループプレゼンテーション、Q&Aセッション、即興プレゼンテーションなど、難易度が増していく構成になっている。
第1回目の授業は、2001年にスティーブ・ジョブズがiPodを世界に発表したときのプレゼン映像から始まった。デュークは、アップルの現CEO、ティム・クック氏の出身校だけあって、「プレゼンのお手本はスティーブ・ジョブズ」なのだそうだ。
授業の終了後、大橋さんが意外に思ったのは、アメリカ人学生も結構プレゼンが下手だということだ。アメリカ人はみんなスティーブ・ジョブズ並みにプレゼンができると思ったら大間違いだった。
「最初の頃は、顔を真っ赤にして話す人とか、声が上ずってしまう人とか、まともにプレゼンができない学生がかなりいましたね。アメリカ人と言えばプレゼン上手という印象がありますが、それはたまたま企業や学校で訓練された、上手な人たちが表に出ているから。普通の学生は、僕たち日本人とそんなに変わりません」
この授業の特徴は、とにかく細かく、「他人からの指摘」があることだ。
時にはビデオ撮影をされ、立ち位置やアイコンタクトの仕方、マイクの渡し方、ジェスチャー、話すスピードまで、微に入り細にわたって、先生やチームメイトから指摘をされる。
とはいえ、フィードバックの基本は「まずは、たくさん褒める」。そして「気になった点は、褒めたうえで、“建設的に”指摘する」というのがデューク流だそうだ。
「最初、君が下を見ていたのが気になったよ。でも後半、前を向いて、左から右へ向かってしっかりアイコンタクトができていたね」
「出だしはすごくよかったよ。でも、ここの部分、話すスピードが少し速かったね」といった具合だ。
授業が進むにつれ、大橋さんも、デュークの「ベタ褒めカルチャー」に、すっかりやる気になり、チームメートを相手に特訓を重ねた。
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